ステーブルコインまとめ(3) USDe

概要

  • シンボル名: USDe (USDE)
  • Ethereumアドレス(コントラクトアドレス): 0x4c9EDD5852cd905f086C759E8383e09bff1E68B3
  • 発行元 / プロジェクト: Ethena(Ethena Labs)
  • 発行開始: 2024年9月
  • 発行総数(循環供給): 約 14,826,879,485 USDE (CoinGecko)
  • CoinGecko ランク: #16 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所
      - Binance(USDE/USDT) (CoinGecko)
      - Bybit (CoinGecko)
      - Phemex (CoinGecko)
      - Uniswap(Ethereum DEX) (CoinGecko)
      - そのほか複数の CEX / DEX で取引あり (CoinGecko)

目的

USDe は、従来の法定通貨担保型ステーブルコイン(USDC / USDT 等)とは異なるアプローチを採る「合成ドル(synthetic dollar)」です。(Ethena Documentation)

主な目的・特徴としては:

  • 銀行・法定準備金などに依存しない、より分散化されたドル代替手段を提供すること (Ethena Documentation)
  • ユーザーに対して、保有中に利回りを得られるよう設計されている(ステーキング等を通じて) (CoinMarketCap)
  • 暗号資産とデリバティブを組み合わせてリスク中立にヘッジし、ドルペッグを維持するメカニズムを用いること (Exponential DeFi)
  • 他のブロックチェーン(例:Solana、将来的には Sui など)にも拡張し、マルチチェーン環境で利用性を広げること (CoinMarketCap)

特徴(他ステーブルコインとの比較・差別点)

USDe が持つ主な特徴や差別化要素は以下の通りです:

特徴説明
合成ドル / デリバティブヘッジ型USDe は暗号資産を担保にしつつ、イーサ等の価格変動を相殺するため、ショートポジション(先物・パーペチュアルなど)を取る「デルタ・ヘッジ」戦略を用いる (Exponential DeFi)
利回り獲得可能性ステーキングやデリバティブのファンディングレート収益を通じて、保有者に“稼ぐドル”として機能するように設計されている (CoinMarketCap)
分散化 / 非中央集権性重視銀行準備金や法定資産に頼らないモデルで、暗号ネイティブな方式に重点を置いている (Ethena Documentation)
動的担保構成担保として利用される資産(ETH、LSTs、USDC/USDT 等)およびヘッジポジションは市場状況に応じて調整される可能性がある (Exponential DeFi)
拡張性 / マルチチェーン戦略Ethereum 以外のチェーン(Solana など)にも導入を拡大しており、より広いエコシステム統合を目指している (CoinMarketCap)

これに対し、USDC / USDT のような典型的なステーブルコインは、法定ドルおよび短期債券等の準備金を裏付け資産とし、価格安定性を維持する方式を取ります。USDe のモデルはこれとかなり異なります。


ニュース(過去1年以内)

以下は USDe(あるいは Ethena / 関連)について、直近1年以内に報じられた主なニュースの例です:

  1. Ethena Labs、USDe を Solana ネットワークへ導入
     → 2024年8月、Solana ネットワーク上で USDe を展開することを発表 (CoinMarketCap)
  2. Ethena が USDtb ステーブルコインを発行、USDe リスク軽減を目指す
     → Ethena が BlackRock の BUIDL ファンドを担保基盤とする USDtb を立ち上げ、USDe モデルのリスクヘッジ策を多様化させる構想 (CoinMarketCap)
  3. SUI グループと Ethena が提携、Sui ネイティブの suiUSDe / USDi を立ち上げへ
     → SUI Network 上で USDe 系列のステーブルコインを展開する計画を発表(2025年) (ビジネスワイヤ)

(他にも CoinMarketCap の「Latest Updates」での開発ロードマップ言及などがあります) (CoinMarketCap)


メリット(保有・ステーキング等の利点)

USDe を保有・ステークすると得られる可能性があるメリットは、以下のような点が挙げられます:

  • 利回り獲得: USDe をステーキングして sUSDe に変換することで、プロトコル収益の一部を受け取れる仕組み。(MEXC Blog)
  • ドルの代替手段としての保全性: 伝統的な銀行体系や法定通貨準備金とは独立した手段として、ドル価値を相対的に保持することを目指している点 (Ethena Documentation)
  • 流動性・構成性: DEX や CeFi 上で容易に交換でき、他の DeFi 構成要素と組み合わせて利用できる可能性 (Ethena Documentation)
  • 規制・検閲耐性: 中央集権的な管理や銀行依存を最小化する設計により、アクセス性や検閲抵抗性の向上を目指すポジティブな側面 (OctoBot)

リスク(保有に伴うリスク)

USDe のユニークな構造ゆえに、以下のようなリスクも存在します:

  • 資産価格変動リスク: 担保として保持される暗号資産(ETHやその他暗号資産など)の価格変動が、ショート戦略で十分にヘッジできない場合、担保不足や損失リスクが生じうる (Exponential DeFi)
  • ショートポジションの逆相関リスク: ヘッジ目的で取るショートポジション(先物/パーペチュアル等)が、予期しない動きをしたり、ファンディングレートが逆行したりするなど、計画外のコストや損失を被る可能性 (Exponential DeFi)
  • スマートコントラクトリスク: プロトコルのコントラクトにバグ、脆弱性があった場合、金銭のロスや不正利用のリスクがある
  • 流動性リスク / デリバティブ市場依存: ヘッジポジションを取る先物市場/デリバティブ市場の流動性が低くなると、実行コストが跳ね上がる恐れ
  • モデルリスク: このデルタ・ヘッジモデルが長期にわたって持続可能かどうかは未知。市場状況や極端なショックに耐えられるかどうかは挑戦的
  • 規制リスク: 特に「合成ドル」「利回り付ステーブルコイン」という構造は、各国の金融規制当局から注視される可能性が高い
  • アルゴリズム変動リスク: 担保構成やヘッジポジションの比率変化(プロトコルの自動調整)により、保有者にとって不利な挙動が生じる可能性

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