ステーブルコインまとめ(12) SyrupUSDC

  • シンボル名: SyrupUSDC
  • Ethereumアドレス: 0x80ac24aa929eaf5013f6436cda2a7ba190f5cc0b (CoinGecko)
  • 発行元 プロジェクト: Maple Finance(“Syrup” 部分として運営) (maple.finance)
  • 発行開始: 公式に「発行開始年月」が明記されている情報は見つかりませんでした。ただし、記事によれば “the protocol launched syrupUSDC in 2024” と記載があり、2024年中にローンチした可能性が高いです (CryptoSlate)
  • 発行総数 (ドル換算): およそ$1.2B (The Defiant)
  • coingecko ランク: #101 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所:
      – Orca (Solana DEX) (CoinGecko)
      – Raydium (Solana) (CoinGecko)
      – Uniswap V4 (Ethereum) (CoinGecko)
      – DEX (Ethereum レイヤー) via Uniswap / Balancer の流動性プール (maple.finance)

目的

syrupUSDC は、Maple Finance が提供する “利回り付きステーブルコイン (yield-bearing stablecoin)” です。ユーザーが USDC を預け入れると、syrupUSDC(ERC-20 トークン)として受け取り、それを通じて Maple の貸付プール(主に機関借り手向けの過剰担保ローン市場)に資金を供給し、その貸付利息を分配として得る構造を持ちます (IQ.wiki)

この構造により、利回りを享受しつつ(=ステーキング的な性質)、いつでも流動性を保ちやすい形(流動性プール経由での即時引き出し可能性)を目指してます (maple.finance)

最近では、Ethereum だけでなく Solana 上にも展開し、異なるチェーンにまたがる相互運用性を強化することで、より流動性・利用性を高める戦略を取っています (maple.finance)


特徴

syrupUSDC の他のステーブルコインとの差別点・特徴は以下の通りです:

特徴説明 / 意義
利回り付きステーブルコイン単なるステーブルコインではなく、保有中に利息を得られる構造
即時流動性(即時引き出し)Uniswap や Balancer の流動性プールを通じて、いつでも USDC へスワップ可能とする仕組みを導入済み (maple.finance)
過剰担保ローンに基づく利回り源泉利回りは Maple の機関ローン市場から得られる収益に基づく (IQ.wiki)
マルチチェーン対応Ethereum だけでなく、Solana でネイティブ展開。Chainlink の CCIP(Cross-Chain Interoperability Protocol)を使って橋渡し機能を持たせている (maple.finance)
流動性最適化戦略導入Arrakis による流動性オーケストレーション戦略を活用し、ステーブルコインとその利回り版間のプール効率を改善する試みが行われている (arrakis.finance)

ニュース(過去1年以内)

以下、syrupUSDC に関連する最近のニュースを 3 件ピックアップします:

  1. Maple’s SyrupUSDC Surpasses $1 Billion Supply Amid Arbitrum Expansion
     2025年9月、syrupUSDC の供給量(時価ベース)が 10 億ドルを突破したと報じられました (The Defiant)
  2. Crypto Lender Maple Finance Expands to Solana With Chainlink
     2025年6月、Maple が syrupUSDC を Solana 上でも展開すると発表。Chainlink CCIP を活用する形での相互運用性強化が取り上げられています (CoinDesk)
  3. Arrakis Launches Liquidity Orchestration for Yield-Bearing Stablecoins: SyrupUSDC Case Study
     2025年に Arrakis が、利回り付きステーブルコイン(特に syrupUSDC)を対象に流動性最適化戦略を導入したという事例記事が出ています (arrakis.finance)

(補足)また、Maple は「syrupUSDC を Solana に拡張」した旨を自社サイトでも発表しています (maple.finance)


メリット

syrupUSDC を保有・運用することには、以下のようなメリットが考えられます:

  • 利回り獲得:単なるステーブル保有ではなく、貸付収益から得られる利息を受け取れる
  • 流動性確保:いつでも USDC 等にスワップできる流動性プールが存在するため、流動性を犠牲にしにくい
  • 低リスクなステーブル性:元本が USDC に裏付けられており、価格変動のリスクは抑えられている設計
  • マルチチェーン利用:Ethereum、Solana といった異なるチェーンでのアクセス性
  • 流動性最適化戦略へのアクセス:Arrakis などの最適化技術によってプール効率が高まり得る

リスク

一方で、syrupUSDC を保有・利用する際には以下のようなリスクも存在します:

  • デフォルトリスク / 借入先リスク:利回りは機関向けローン収益を原資としているため、借り手が返済不能になった場合のリスク
  • スマートコントラクトリスク:バグや攻撃、脆弱性など、コントラクトのセキュリティリスク
  • ペグ崩壊リスク:理論上 1 USD に対するペグが維持される設計だが、需給変動や大規模な流動性ショックで乖離する可能性
  • 流動性ショックリスク:極端な市場混乱時には流動性プールが足りず、スリッページや遅延が発生する可能性
  • クロスチェーンリスク:Ethereum ⇄ Solana 間での橋渡しや相互運用性機構(例えば CCIP)に依存するため、クロスチェーン機構のリスクも関与
  • 中央化・管理権限リスク:発行契約者が将来的に手数料やミント機能を変更できる可能性(特に初期発行時点では統制構造が強い可能性)という指摘もあります (IQ.wiki)

ステーブルコインまとめ(11) USDf

概要

  • シンボル名: USDf(Falcon USD) (https://falcon.finance/)
  • Ethereumアドレス: 0xFa2B947eEc368f42195f24F36d2aF29f7c24CeC2 (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)
  • 発行元 / プロジェクト: Falcon Finance(Falcon Financeプロジェクト) (Bitfinex blog)
  • 発行開始(年月): 正確な発行開始年月は公開資料で確認できませんでした。ただし Etherscan のデプロイ日やソースコードの日付から、比較的新しいトークンと考えられます。 (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)
  • 発行総数(ドル建て / 流通総量)
     – 時価総額(Market Cap): 約 $1,519,439,229 USD (CoinGecko)
     – 最大供給量(Max Supply): 特に上限は設定されていないようで、「∞(無限)」となっている記録があります。 (CoinGecko)
  • CoinGecko ランク: #79 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所
     – Uniswap V3(Ethereum) で USDF/USDT ペアなどで活発に取引されているとの記載あり (CoinGecko)
     – また MEXC や Curve 等でも取引されている可能性あり (CoinGecko)

目的(ユースケース・プロジェクト概要)

USDf(Falcon USD)は、「過剰担保型(overcollateralized)」ステーブルコインとして設計されており、典型的な法定通貨担保型ステーブルコインとは異なり、担保として安定コイン(USDC, USDT など)だけでなく、変動資産(BTC, ETH など)も含む多様な資産を用いて発行されるモデルを採用しています。 (Bitfinex blog)

つまり、ユーザーは一定の担保を預け入れて USDf をミント(発行)でき、その後 USDf をステーキング(sUSDf という yield-generating トークン)することで利回りを得られるような双子トークンモデルを運営しています。 (The Street)

また、USDf / USD の価格フィードは Chainlink のオラクル網でも提供されています。 (data.chain.link)

プロジェクトの目的は、安定性と柔軟性・持続可能性を兼ねたデジタルドル基盤を提供することとされています。 (Bitfinex blog)


特徴(他ステーブルコインとの比較で目立つ点)

  • 複数資産担保モデル: USDf は単一の法定通貨担保(例えば預金口座に米ドルを保有)ではなく、安定コインだけでなく BTC や ETH などの変動資産も担保として受け入れることで、資本効率を高めようとしています。 (Bitfinex blog)
  • ステーキング可能な二次トークン構造: USDf をステークすることで sUSDf を得て、利回りを得ることができる設計があるとの報道あり。 (The Street)
  • 柔軟な発行・償還: 担保預け入れによりユーザーが自由にミント/バーンできるような仕組みを持っているようです。 (app.artemisanalytics.com)
  • オラクル連携: Chainlink による USDf/USD の価格フィードが公開されており、外部参照性を持たせている点。 (data.chain.link)

ニュース(直近1年以内)

  1. “Falcon Finance Surpasses $500M in USDf Stablecoin Supply”
     Falcon Finance が USDf の供給量を 5 億ドル超に拡大したという記事。 (The Street)
  2. “What is USDf (USDf)?” — Bitfinex Blog
     Bitfinex が USDf の概要や設計意図を説明する紹介記事(5か月前掲載) (Bitfinex blog)
  3. “USDf (Ethereum): Stablecoins composition” — Dune Analytics
     Dune で USDf の担保構成を可視化するデータが公開されているレポート。 (Dune)

※ただし、これらのニュースはいずれもプロモーションや解説的な内容が中心で、批判的な報道や大きな事件を扱ったものは確認できませんでした。


メリット(保有・ステーキング等の可能性含む)

  • 利回り取得の可能性: USDf をステークして sUSDf を得ることで、保有者が追加収益を得られる構造が設計されています。 (The Street)
  • 流動性と取引性: Uniswap 等の主要 DEX で取引ペアがある点により、比較的流動性を確保できる可能性あり。 (CoinGecko)
  • 資本効率: 複数資産担保モデルにより、より少ない担保で発行余地を広げられる可能性がある(ただしリスクも増す)
  • オラクルとの連携: Chainlink による価格フィードを持つことで、価格参照の透明性・信頼性をある程度確保している点 (data.chain.link)

リスク(保有時・運用時の注意点)

  • 担保資産の価格変動リスク: BTC や ETH のような変動資産を担保に使う設計のため、担保価値が下落した際には清算リスク(担保不足・トークン価値の崩壊)が生じうる。
  • 設計リスク・スマートコントラクトリスク: コントラクト脆弱性、バグ、アップグレード体制の問題など、スマートコントラクトに起因するリスクが存在する
  • 流動性リスク: DEX におけるスリッページ、浅い流動性ペアでの取引コスト上昇
  • ステーブル性維持リスク: 担保構成や清算メカニズムが想定通り機能しないと、ペグの崩壊・価格乖離が起きる可能性
  • 規制リスク: ステーブルコイン領域への規制強化(特にアメリカなど)によって運用が制限される可能性
  • 信用リスク: プロジェクト運営体制や担保運用先、オラクル連携先に対する信用問題

暗号資産暴落!試練の年末

先月の投資成績です。

11月の株式市場は、米国でAI相場の主役が交代するなど動きがありましたが、全体としては堅調でした。エヌビディアからアルファベットへと資金がシフトし、S&P500は小幅ながら上昇しました。日本市場でも、高市政権による経済対策への期待からTOPIXが上昇するなど、明るい材料が見られました。

債券市場では、米国の長期金利が低下しました。一時は利下げ期待の後退で金利が上昇する場面もありましたが、仮想通貨などのリスク資産への警戒感から安全資産である国債が買われました。日本では日銀の利上げ観測や財政拡大懸念から金利が上昇しており、日米で対照的な動きとなっています。

為替市場では、日銀の利上げ観測が後退したことや、活発な対外証券投資を背景に円安が進みました。ただ、今後は日銀の利上げ観測が再燃すれば、徐々に円高方向への修正が入ると見られています。それでも日米の金利差は依然として大きく、急激な円高にはなりにくいでしょう。

リート市場は、米国や日本で好調でした。特に米国では利下げ期待が相場を支え、ヘルスケアセクターなどが上昇しました。日本でもオフィス需要の回復を背景に堅調な推移が続いています。一方で、豪州などはインフレ懸念から軟調な動きとなりました。

さて、kackyファンドの成績ですが、今月は非常に苦しい結果となりました。株式市場の好調さに少し救われたものの、主力の暗号資産がBalancerのハッキング被害や米国の利下げ確率低下を嫌気して暴落してしまいました。

先月までの過去最高益から一転、年初来の利益をほぼ全て吐き出す形となり、ベンチマークの中でも最下位に転落してしまいました。まさに天国から地獄への急降下といった心境ですが、これも投資の世界では起こり得ることです。

非常に厳しい状況ではありますが、ここで投げ出してはいけません。こういう時こそ冷静に、長期的な視点を持つことが大切です。嵐が過ぎ去るのをじっと待ちながら、市場にとどまり続けることが将来の果実につながると信じています。

それでは、今月も長期投資で行きましょう!

Stream Finance事件から学ぶ:DeFiキュレーター投資の限界とリスク管理の教訓【反省会】

はじめに:DeFiで起きた「想定外の事件」

最近、DeFi界隈で大きな事件が起こりました。
Stream Finance事件」。
私の運用している kackyファンド もこの影響を受け、一定の損失を被ることとなりました。

この記事では、反省の意味も込めて、

  • 事件の概要
  • 影響の実態
  • DeFi投資で浮き彫りになった構造的リスク
  • そして今後の方針

を整理していきたいと思います。


Stream Finance事件の概要

事件の経緯は以下のCryptoTimesの記事が詳しいです。
👉 ステーブルコインxUSD、72時間で400億円が消えた – Stream Finance事件が暴く、DeFiの“見えない支配者”Curatorの正体

ざっくりと時系列を整理すると次のようになります。

  • 10月下旬:分散取引所 Balancer がセキュリティ侵害を受け、約7,000万ドルを損失
  • 11月3日:Stream Finance が約9,300万ドルの損失を発表し、入出金が停止
  • 11月4日:Stream Finance のUSD連動トークン xUSD が $0.16 まで下落(80%以上の価値喪失)
    → Morpho、Euler、Silo などでもUSDCの流動性が枯渇
  • 11月5日:Stream Financeと取引関係のあったUSDxなどもペッグを失う

DeFiプロトコルの脆弱性が連鎖的に広がり、関連する投資家・ファンドが一斉に資金を引き出せない状況となりました。


kackyファンドの被害状況

私自身は Euler Finance を通じて、Stream Financeと取引がされているキュレーター運用プールに資金を預けていました。
結果として、資金の一部は凍結し、約20%がいまだに引き出せない状況です。

ただし幸いにも、複数プールに分散していたため全損は回避できました。
今回改めて、「リスク分散」が資産運用の鉄則であることを痛感しました。


「キュレーター」とは何者か?

今回の事件のキーワードになっているのが「キュレーター(Curator)」です。
これは、他の業界で例えると 投資信託クラウドファンディング に近い存在です。

投資家は暗号資産をキュレーターに預け、キュレーターがその資金を運用。
利益が出ればその一部を手数料として受け取る、という構造です。

しかし問題は、

  • 投資家がリスクを負う一方で
  • 運用者は利益だけを優先しがちで
  • 運用の中身が見えない

という構造的な歪みにあります。


株式投資と比べてわかる「透明性の壁」

株式投資の世界では、金融商品取引法や出資法によって

  • 運用報告書の公開義務
  • 信託保全(顧客資産と会社資産の分離)

が厳格に定められています。

しかし、暗号資産キュレーターにはこうした仕組みが存在しません
投資家が見られるのは、せいぜい「直近リターン」や「TVL(総預かり資産)」程度。
資金がどこでどう運用されているのか、ほとんどわからない状態なのです。

この「透明性の欠如」こそが、キュレーター型DeFiにおける最大の課題であり、
信頼性を崩壊させる土壌になっていると感じます。


今後の見通し:2つのシナリオ

今回のような事態のあと、運用プールや投資家がどうなるか。
過去の事例を参考に、2つのシナリオを考えてみました。

シナリオ1:割引償還(Usual Finance型)

残存資産を基に、管財人やDAOの判断で割引価格で償還するケース。
Stream Financeの損失率が約20%と仮定すれば、60〜80%の返還が理想的なラインです。

参考:What Caused the USD0++ Depeg? – OneSafe Blog

シナリオ2:法的処理(Mt.Gox型)

破産申告を行い、裁判を通して返還が進むパターン。
返金される可能性は上がるものの、解決まで数年単位の時間を要します。

私個人としては、できるだけ早期に整理が進む「シナリオ1」に落ち着くことを願っています。しかし、最新のニュースを見る限り、償還が早期に開始される見込みは薄く、シナリオ2になる可能性が高くなりました。

参考:Silo DAO、未払いローンを巡りStream Financeに対して法的措置を開始


今後の投資方針と教訓

今回の事件で痛感したのは、
リスクの見えない運用は、どんなに高利回りでも危険」ということです。

私は、他人に運用を任せること自体を否定するわけではありません。
しかし、投資信託やプロの運用者に任せる方法には、法律や制度による透明性・保全措置があります。
問題は、その仕組みがDeFiキュレーターにはまだ存在していないという点です。

今後、kackyファンドは

  • キュレーターを介したレンディングから撤退
  • 自己管理可能なリスク構造(例:Liquidity Pool運用)へシフト

という方針で動きます。

DeFiに限らず投資の世界は「利益とリスクは表裏一体」です。
リスクを自分で評価できない運用は、もはや投資ではなく神頼みに近いと実感しました。


まとめ

DeFiは、金融の未来を感じさせてくれます。様々な利益追求方法が存在する魅力的な市場です。
しかし同時に、「透明性なき利回り」はいつでも牙をむく。

今回の事件は、その現実をまざまざと見せつけました。

kackyファンドとしては、
「透明性が低い運用」には手を出さない
「分散」と「自己管理」を徹底する

という原点に立ち返り、今後も長期的な投資を続けていきます。

ステーブルコインまとめ(10) USDtb

概要

  • シンボル名: USDtb(USDTB)
  • Ethereumアドレス: 0xC139190F447e929f090Edeb554D95AbB8b18aC1C (Coinbase)
  • 発行元・プロジェクト: Ethena Labs (USDtb のドキュメントで “USDtb” は Ethena プロジェクトの一部と記されている) (docs.ethena.fi)
  • 発行開始: 2024年12月(公式リリースによれば 2024年12月) (Gate.com)
  • 発行総数(循環供給量): 約 180億USD(1.8 B USDTB) (CoinGecko)
  • Coingecko ランク: #69 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所:
      – Fluid(Ethereum DEX) において USDE/USDTB のペアで流動性あり (CoinGecko)
      – Bybit(CEX) で上場発表あり (USDtb)
      – Curve(Ethereum 上) にもペアがあるとの記載あり (CoinGecko)

目的

USDtb の目的・設計意図を以下に整理します:

  • USD に 1:1 ペッグされたデジタルドルとして機能し、支払い、送金、保有、取引資産として使われることを想定 (docs.usdtb.money)
  • 他のステーブルコインとは異なり、主に 機関グレードのトークン化された米国財務商品(国債、短期金融商品等)を裏付け資産とする ことで “全額裏付け” を目指す設計 (docs.ethena.fi)
  • Ethena の他のステーブルコイン(例:USDe)とのリスク分散や安定性補完用途も念頭にあるようで、マーケットの資金移動やネガティブなファンディング率の状況下で資金が USDtb にシフトするような構造を想定しているという記述もある (The Defiant)
  • また、アメリカの新法「GENIUS Act(もしくは “GENIUS Act 準拠”)」に適合させることで、米国内での発行・流通を合法的・規制対応型に行いたいという戦略が取られているという報道もある (Unchained)

特徴(他のステーブルコインと比較しての差異・強み)

USDtb の設計にはいくつか注目すべき特色があります:

  1. 裏付け資産の質
     USDtb は主に BlackRock の「BUIDL(USD Institutional Digital Liquidity Fund)」というトークン化された流動性ファンドを裏付け資産として利用する設計で、これは米国国債、現金、レポ等を含む機関グレード資産を束ねたものとされている (CoinMarketCap)
     このような設計は、単純な現金担保型ステーブルコイン(例:USDC など)や部分担保型/アルゴリズム型ステーブルコインとの違いになる可能性がある。
  2. クロスチェーン対応と流動性展開
     発表では、Ethereum だけでなく Solana、Base、Arbitrum など複数チェーンでの展開を行う構想があるとされている (The Defiant)
     また、LayerZero などを介した “シームレスな” クロスチェーン機能を持たせたいという記述も報じられている (The Defiant)
  3. 規制適合性・透明性志向
     米国の新法 “GENIUS Act” に適合させる意図が報じられており、それに伴う監査、準備、資産裏付け・運営体制などを制度的に整える姿勢があるようだという報道がある (AInvest)
     また、ドキュメントや公式サイトでは “完全に裏付けられた(fully backed)” ステーブルコインとして透明性を打ち出している記載がある (docs.usdtb.money)
  4. リスク管理・資金シフトの機構
     USDtb は、Ethena のエコシステムにおいて、USDe 等他のトークンから資金を移し替えるクッション役を果たす可能性を持たせた設計とされている(市場ストレス時の安定性補強) (The Defiant)

ニュース(過去1年以内)

以下は、USDtb に関連する比較的新しい記事(あるいは報道)です:

  1. Ethena Taps Anchorage to Issue $1.5B USDtb Stablecoin Under GENIUS Act — Ethena が Anchorage Digital と組み、GENIUS Act 準拠で 15 億ドル規模の USDtb 発行を目論むという報道 (Unchained)
  2. Anchorage Digital Joins Forces with Ethena to Unveil First GENIUS-Compliant USDtb in the U.S. — GENIUS 法に則る最初のステーブルコインとしての USDtb 発表の報道 (CryptoNinjas)
  3. Ethena Labs Unveils USDtb Stablecoin, Backed by BlackRock’s BUIDL — USDtb の公開およびその裏付け資産構造についての報道 (The Defiant)

(このほかにも、たとえば Bybit 上場や流動性措置に関する報道が公式サイトで出ています) (USDtb)


メリット

USDtb を保有・利用することによる潜在的なメリットには以下が考えられます:

  • 安定性・信頼性
     質の高い裏付け資産を用い、透明性を意識した設計で「完全裏付け型ステーブルコイン」としての信頼を得やすい可能性がある。
  • 流動性と利便性
     複数チェーン展開や DEX / CEX 上場により、資産移転や交換が比較的容易になる可能性。
  • 規制適合性
     GENIUS Act 準拠を目指すことで、将来的には米国法領域での利用許可や機関投資家の参入障壁を低くできる可能性。
  • エコシステム補完性
     Ethena の他トークン(USDe など)との連動・リスク分散構造に組み込まれているため、エコシステム内で資金を最適化できる可能性がある。

リスク

しかしながら、USDtb に固有あるいは共通するリスクも無視できません:

  • 裏付け資産リスク/信用リスク
     BUIDL やその他トークン化された資産運用体制・信用性が期待通りでない場合、裏付け資産価値が揺らぐリスク。
  • 流動性リスク
     大規模な引き出しや急激な需要変動時に、裏付け資産を迅速に売却・清算できない可能性。
  • スマートコントラクト・実装リスク
     スマートコントラクトにバグや脆弱性があれば、資金盗難や操作リスクなど。
  • 規制リスク
     GENIUS Act など米国法制度の枠組みが今後変わる可能性、あるいは発行体や構造が法改正に耐えられない可能性。
  • 信用集中リスク
     裏付け資産として BlackRock や特定基金に強く依存している点が、集中リスクを高める。
  • 市場リスク・ペッグ崩壊リスク
     特定ショックが入ると、ペッグ変動・価格乖離リスクが発生しうる。

積立NISA満額投資を断念しました

今日はいつもとは違うタイミングで特別に投稿します。

これまで新NISAになってから月10万円の満額積立を続けてきましたが、来年から月8万円に減らすことにしました。

理由ですが、

  • 暗号資産の利益確定に伴い住民税、所得税の負担が大きくなり家計を圧迫している。それが今後数年間継続する見込みであること
  • 近年の物価上昇により、支出が増大していて家計のバランスを保つには恒久的な財源が必要なこと

このような感じです。他のサラリーマン投資家の方も、もしかしたら同じような状況にある人がいるかもしれません。まあ、私自身は特にNISAを満額埋めることに特にこだわりがあるわけではないので。まあちょっと時間がかかることにはなりますが、投資が続けていけたら問題はないと思います。それにしても最近の物価上昇は大変ですね。下の子が来年から小学生になるのでそれに伴う支出も増えるのも間違いないです。投資は無理なく続けることが一番ですね。

ステーブルコインまとめ(8) PYUSD

概要

  • シンボル名
     PYUSD (PayPal USD) (CoinGecko)
  • Ethereumアドレス
     0x6c3ea9036406852006290770BEdFcAbA0e23A0e8 (PayPal Developer)
  • 発行元 / プロジェクト
     発行は Paxos Trust Company による。PayPalと連携して発行されている。 (TechCrunch)
     (Paxos はニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の管轄下にあるトラスト会社で、規制対象事業者) (TechCrunch)
  • 発行開始
     2023年8月7日 正式に発表・ローンチされた。 (PayPal Newsroom)
     (ただし最初のコード・コントラクトはその前段階の準備があった可能性あり) (Medium)
  • 発行総数(流通量など)
     ・Etherscan 上では、循環供給量 (circulating supply) 約 2,544,689,494 PYUSD、時価総額約 $2,544,672,938 として表示。 (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)
     ・CoinMarketCap にも同様に、総供給量 2.54B PYUSD として記載。 (CoinMarketCap)
  • coingecko ランク
    #63 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所
     ・CoinMarketCap によれば、PYUSD は複数取引所に上場。 (CoinMarketCap)
     ・PayPal/Coinbase 間での統合・提携により、Coinbase 上で PYUSD を手数料無しで売買・1:1 USD 換算可能とする動きあり。 (PayPal Newsroom)
     ・DEX(分散型取引所)では、Uniswap V3 に PYUSD/USDC プールが存在。 (geckoterminal.com)
     ・Solana 上の取引所、ブリッジ等でも扱われている。 (Blockworks)

目的

PYUSD の主な目的・ユースケースは下記の通りです。

  • 法定通貨(USD)とのペッグ維持型ステーブルコインとしての決済用途
     「1 USD : 1 PYUSD」の交換可能性を担保しつつ、ブロックチェーン・ネットワーク上での移転性・流動性・プログラム適性を付与することを目指している。 (PayPal)
  • PayPal エコシステム/Web3 間の橋渡し
     PayPal ユーザーが、PayPal 内残高と暗号資産・ウォレットとの間で移転できるようにする。 (PayPal)
     暗号決済や Web3 アプリとの統合を進めたい構想。 (PayPal Developer)
  • 収益誘因・資金誘導
     PayPal 内で PYUSD を保有しているユーザーに対し、報酬・金利を付与する制度を導入しており、それを通じて流動性を確保・ユーザー定着を図る狙い。 (investor.pypl.com)
  • 多チェーン展開・相互運用性
     Ethereum だけでなく、Solana、Arbitrum、将来的には Stellar 等への展開を通じて、支払い・送金ユースケースを広げる。 (PayPal)

特徴(他のステーブルコインとの比較で目立つ点)

以下、PYUSD の強み・特徴と、他ステーブルコインとの違いになりうる点を挙げます。

特徴内容
PayPal ブランドとの統合PayPal を利用する既存ユーザー基盤にアクセスでき、PayPal サービスと連携できる設計。
報酬(利息)機能の付与PYUSD を保有することによって報酬(年率 3.7 % 程度など)を付与する制度を導入している。 (investor.pypl.com)
多チェーン対応・相互運用性Ethereum、Solana、Arbitrum に対応。さらに Stellar への展開も計画中。 (PayPal Newsroom)
規制・監督体制発行主体 Paxos は NYDFS の管轄下にあり、規制下で運営されている点を強調している。 (TechCrunch)
高透明性・担保の明示PayPal 側では、USD 預金、短期米国債などの「現金及び同等物」で完全裏付けをすると説明。 (PayPal)

一方、他ステーブルコイン(例えば USDC、USDT など)と比べると:

  • 流動性・市場規模ではまだ劣後する可能性が高い。
  • ネットワーク対応範囲は広げているが、各チェーンやウォレット対応・流動性確保は今後の課題。
  • 規制リスク・発行体信用リスクが相対的に重視され得る。

ニュース(過去1年以内で PYUSD に関する注目記事)

  1. CoinDesk:PayPal’s $1.3B Stablecoin Expands to 9 New Blockchains With LayerZero Integration
     「PayPal の 13 億ドルのステーブルコインが LayerZero によって 9 の新ブロックチェーンへ拡張」 (CoinDesk)
  2. PayPal が Stellar ネットワークでの展開を計画
     「PayPal USD (PYUSD) を Stellar ネットワークで利用可能にする計画」 (PayPal Newsroom)
  3. CoinDesk:PayPal、PYUSD に年率 3.7 % の利息提供を発表
     「PayPal が PYUSD 保有者に対し 3.7 % 年利を支払う方針を明らかに」 (CoinDesk)
  4. Reuters / Coinbase との提携
     「Coinbase が PYUSD の取引手数料を免除、USD への直接償還も可能に」 (Reuters)

(上記は 3〜4 件。必要ならさらに記事を探せます)


メリット(保有・利用・ステーキングなどの利点)

  • 利息・報酬獲得
     PayPal 上で PYUSD を保有していると、年利 3.7 % 程度(報酬率は変動の可能性あり)が付与される。 (CoinDesk)
     これはステーブルコインとしては比較的高利回りな報酬設計で、ユーザー誘因となる。
  • 低手数料・使いやすさ
     PayPal 内での送金・保有は手数料無料とする設計。 (PayPal)
     ネットワーク手数料 (Ethereum 等での転送) は発生するが、PayPal 内での換算・移動はシームレス。
  • 流動性・交換性
     1:1 で USD に交換可能(PayPal 内、認可パートナーを通じて)という裏付けが保証されている。 (PayPal)
  • 決済・送金用途
     ステーブルコインゆえ価格変動リスクを抑えつつ、ブロックチェーン上での即時送金や決済に使える。
     特に国際送金、少額支払い、Web3 アプリ連携などで有利。 (PayPal Developer)
  • ブランド信頼性
     PayPal/Paxos といった比較的信頼性の高い大手が関与しているという安心感がユーザー・機関投資家にアピールできる。

リスク(保有・運用上の懸念点)

  • 発行体リスク/信用リスク
     Paxos の運営・財務リスク、規制リスク、法令遵守の状況が直接的に影響を与える可能性。
     過去、Paxos に対する規制監査や SEC 等との関係注視の報道も存在。
  • 規制リスク・法的変化
     ステーブルコインは各国で規制の対象になりつつあり、将来的な規制強化、法制度変更による制限・上場廃止のリスクあり。
     例えば欧州の MiCA 規制や米国の証券法・金融監督強化など。
  • 流動性リスク/市場スプレッド
     主要ステーブルコイン (USDC, USDT 等) と比較すると流動性が薄く、スプレッド拡大や換金時のコスト上昇の可能性あり。
  • ブロックチェーン/ネットワークリスク
     Ethereum 等でのネットワーク混雑・ガス代高騰、スマートコントラクト脆弱性、チェーン間ブリッジの不具合リスクなど。
  • ペッグ崩壊リスク
     何らかのショック(担保資産の価値下落、資金流出、信用危機等)が起こると、1 USD とのペッグを維持できなくなる可能性。
  • 偽トークン詐欺
     発表時点で、偽の PYUSD トークン(別アドレス発行)を用いた詐欺が複数報告されており、ユーザーはコントラクトアドレスを慎重に確認すべき。 (Medium)
  • 報酬比率の変動・制度変更
     報酬(利息)は変動可能で、将来縮小または廃止されるリスク。報酬が主な誘因になっている場合、制度変更は影響が大きい。

ステーブルコインまとめ(9) C1USD

概要

  • シンボル名: C1USD
  • Ethereumアドレス: 0x40caa7912437002ee2c8415d43e7f575c733674c ( Stellarアドレスは C1USD-GDCDFF6ZZP3HVODSVJYAN6IRNGWGPLVFKH23RY2OFHFGGVCGBXSDPKTU)
  • 発行元 プロジェクト: Kinesis Money Panama S.A.(Kinesis) (Kinesis)
  • 発行開始: 2025年9月19日(Kinesis Monetary System への採用日として) (CoinGecko)
  • 発行総数 (ドル換算): $2,548,636,417 (CoinGecko)
  • coingecko ランク: #62
  • 上場する主な取引所: Kinesis プラットフォーム(C1USD/USD ペアなど) (CoinGecko)

目的

C1USD(Currency One USD)は、米ドルと 1:1 で連動するステーブルコインであり、仮想通貨/ブロックチェーン環境における価値の安定した交換手段を提供することを目的とする。特に、低コスト・高速トランザクションを可能にし、決済やDeFi、クロスボーダー送金、担保・エスクロー用途などで使われることを想定して設計されている。 (CoinGecko)

また、Kinesis の既存 USD1 トークンを C1USD に移行させ、保有者に対して利回り提供(7.5% APY 見込み)を行う構想も記載されている。 (Kinesis)


特徴

  • 完全担保制: 担保資産を保有し、1:1 で米ドルを裏付ける方式とされている。 (CoinGecko)
  • 利回り提供: 保有者(Kinesis の認証アカウント保有者等)に 7.5% APY 相当の可変利率を月次で支払う構成。 (Kinesis)
  • マルチチェーン対応: Stellar ブロックチェーンと Ethereum(ERC-20)双方での運用を見込む。Stellar は送金コスト低廉性、Ethereum は EVM 互換性を考慮。 (CoinGecko)
  • 保険ラッパー構造: 保険・再保険プロバイダーと連動する構造を設け、リスク軽減を図る意図あり。 (Kinesis)
  • トークン移行: 既存の USD1 保有者を 1:1 で C1USD に変換する移行プロセスが設けられている。 (Kinesis)

ニュース(直近1年)

以下は C1USD を取り扱った、または関連性の高い記事・発表です:

  1. Kinesis Set to Adopt C1USD — C1USD が USD1 を置き換え、保険付き USD 安定コインに移行予定 (Kinesis)
  2. Kinesis Integrates With Yellow Card – Local On-ramps across Africa — アフリカ地域での法定通貨 → C1USD への入金ルート拡張に関する発表 (Kinesis)
  3. Currency One USD Price Chart (C1USD) — CoinGecko による C1USD の概要、設計・機能説明を含むページ (CoinGecko)
  4. Currency One USD (C1USD) Price Today, News & Live Chart — Forbes による紹介記事 (フォーブス)
  5. Kinesis Money launches C1USD, a stablecoin with unique features — LinkedIn 上での発表(初期時点情報を含む) (LinkedIn)

メリット

  • 相対的な価格安定性(USD 連動)により、価格変動リスクを抑えた価値保全手段として使える
  • 利回り取得の可能性(7.5% APY 見込み)が設計に含まれており、単なる保有だけで収益が得られる構造 (Kinesis)
  • 低コスト高速送金が可能なネットワーク(Stellar 等)を併用する構成
  • DeFi やスマートコントラクトとの互換性(Ethereum 側接続)により応用が広い
  • 発行体による保険ラッパーやリスク軽減構造導入意図により、信頼性強化の余地あり

リスク

  • プロジェクト初期段階ゆえ、流動性不足や取引所上場の遅延リスク
  • 担保資産の適切な管理・監査・透明性確保ができなければ、ペッグ維持に失敗する可能性
  • 規制リスク:各国および国際機関によるステーブルコイン規制の強化(特に米国や欧州)
  • 保険や再保険体制、外部保証者の信頼性リスク
  • マルチチェーン運用に伴う技術的な脆弱性・ブリッジリスク

ステーブルコインまとめ(7) USDT0

概要

  • シンボル名: USDT0
  • Ethereumアドレス(もしくは代表チェーンのコントラクト)
     – Polygon上の USDT0 コントラクトの一つ: 0xC2132D05D31C914A87C6611C10748AEB04B58E8F (Polygon (POL) Blockchain Explorer)
     – Arbitrum上にも USDT0(USD₮0)展開例あり (Arbitrum L2 Explorer)
  • 発行元 / プロジェクト: USDT0 は、Tether(USD₮)をベースに “オムニチェーン(omnichain)” 構造で展開される流動性プロトコル。 (docs.usdt0.to)
    • ただし、USDT0 自体は Tether が直接「独自に発行」するトークンというより、Tether の USDT をロックして対応トークンを複数チェーンで発行・橋渡しする設計 (“lock-and-mint”) を取る方式と説明されている。 (Bitfinex blog)
  • 発行開始: 2025年1月16日(Tether が USDT0 をローンチ) (Superchain Eco)
  • 発行総数 / 流通量(ドル換算)
     – CoinGecko によれば、USDT0 の流通量は約 6,952,058,848 USDT0 (=約 69.5 億ドル相当) (CoinGecko)
     – 同時に時価総額 (market cap) は $6,956,898,827(約 69.6 億ドル) (CoinGecko)
  • coingecko ランク#34 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所 / 流通市場
     – DEX(分散型取引所):Hyperliquid(USDT0/USDC ペア) (CoinGecko)
     – Fluid(Arbitrum) (CoinGecko)
     – 「Project X」なども取引所ペアに見られる (CoinGecko)
     – ただし、CEX(中央集権型取引所)での上場については、少ないまたは限定的なように見える(public 資料で判明せず)

目的(用途・プロジェクト概要)

USDT0 の目的・設計意図は、従来の USDT(USD₮)の流動性をマルチチェーンへ拡張し、「1つの USDT 資産」が複数ブロックチェーン間でシームレスに動けるようにすることです。以下が主なポイント:

  • オムニチェーン流動性の統合
     USDT0 は LayerZero の Omnichain Fungible Token (OFT) 標準を用い、ラップされたトークンや中間チェーンを経由する変換を最小化する方式で、USDT を複数チェーンにまたがって展開・送金できるようにする。 (Superchain Eco)
  • “lock-and-mint” モデル
     Ethereum 上で USDT がロックされ、対応する量の USDT0 が他チェーンで発行(ミント)される方式。これにより、USDT0 は元の USDT と 1:1 で対応する形を取る(ペグ維持)設計。 (Bitfinex blog)
  • 手数料低減・効率化
     従来のクロスチェーンブリッジ方式を用いると、途中チェーン利用料やラップアンラップ操作などでコスト・手間が発生するが、USDT0 ではこれを削減し、ユーザーや DeFi アプリケーションにとって使いやすくすることを志向。 (Binance)
  • 既存 USDT エコシステムとの連携
     USDT0 は “USDT の次進化” として設計されており、USDT の信頼性・裏付け(リザーブ資産)を活かしつつ、マルチチェーン利便性を付与するものと位置付けられている。 (docs.usdt0.to)
  • 応用展開
     USDT0 の技術設計を応用して、Gold のトークン版である XAUt0(Tether Gold のマルチチェーン版)も並行して展開されている。 (CoinDesk)

特徴(他ステーブルコインとの比較での強み・独自性)

以下は USDT0 が持つとされる特徴・差別点です:

項目内容
流動性の断片化軽減多くのステーブルコイン/USDT は、各チェーンにラップされた別トークン(例: USDT on Arbitrum, USDT on BSC など)を通して流動性を分散させるが、USDT0 は同一資産としてチェーンを横断できるように設計
費用効率化中間ブリッジ操作や複雑なラッピング操作を減らすことで、送金コストやガスコストを抑える可能性を持つ
信頼性の継承USDT(Tether)が持つ裏付け資産や信頼構造をベースにしているため、新規ステーブルコインと比べリスク評価で有利に働く可能性
柔軟性新しいネットワーク/チェーンにも拡張しやすい設計(LayerZero OFT 標準使用)
統一資産としての UX 向上ユーザーやアプリにとって、「どのチェーンの USDT か」を気にしなくてよい操作体験を提供可能

ただし、これらの特徴は理論設計・初期展開段階のものであり、実運用・セキュリティ・流動性面では注意が必要です。


ニュース(過去1年以内の言及例)

  1. 「USDT0 and XAUt0 stablecoins launch on Polygon network」
     USDT0 が Polygon ネットワークにローンチされたという報道。 (Cointelegraph)
  2. 「Stablecoin Protocol USDT0 Aims to Bring Tokenized Gold Closer to DeFi」
     USDT0 の展開と、Gold トークン(XAUt0)との連携について。 (CoinDesk)
  3. 「Native USDT0 Comes to Polygon for Lower Fees and Deeper Liquidity」
     Polygon 上で USDT0 がネイティブに導入され、手数料低減・流動性強化を図るというニュース。 (Polygon)

(必要であれば日本語記事や追加のものを探せます)


メリット(保有・利用・ステーキング等の利点)

  • 効率的な資産移動
     複数チェーンをまたいで USDT を移動する際の手数料・遅延を抑えられる可能性。
  • 流動性活用
     複数チェーンで同一 USDT 資産を使えるため、DeFi アプリケーションでの流動性提供や資本効率向上が見込める。
  • 信頼性
     USDT の信用・裏付け資産を前提とする設計であるため、比較的新しいステーブルコインと比べて信頼性面のアドバンテージ。
  • 拡張可能性
     将来的な連携チェーンやアプリとの統合がしやすい設計構造。
  • (可能性として)ステーキングや報酬獲得
     一部プラットフォームでは USDT0 を用いた流動性提供やステーキング報酬が検討されているという記述もみられる (Cryptohopper)

リスク・注意点(保有時・運用時のリスク)

  • 設計リスク・スマートコントラクトの脆弱性
     OFT やクロスチェーンロジックを扱うため、設計ミスやバグ・攻撃リスクが存在
  • 資産裏付け・ペグ破綻リスク
     USDT0 は USDT をロック → 発行 という流れを採るが、USDT 側の裏付け資産リスクやロック・ミント操作での不整合リスクも含む
  • 流動性リスク
     新興トークンであり、CEX における上場が限定的なため、流動性が十分でないチェーンやペアでは価格スリッページや取引困難性のリスク
  • 規制リスク
     ステーブルコイン/規制対象資産としての法令・監督規制の変化に影響を受けやすい
  • 運用・変換リスク
     USDT と USDT0 間の変換(スワップや巻き戻し)が必要な場合、手数料・タイミング差・変換の失敗リスク
  • 依存関係リスク
     LayerZero や使用されるクロスチェーンインフラの停止・不具合・攻撃リスク

AI投資、日経平均の飛躍

先月の投資成績です。

10月の相場は、主要株式市場が史上最高値を更新するという歴史的な一ヶ月となりました。kackyファンドも皆さんの応援のおかげで過去最高益を更新することができ、本当に嬉しい限りです。ただ、暗号資産は残念ながら横ばいで、期待したような大きな上昇は見られませんでした。

先月の株式市場は、日米欧ともに素晴らしいパフォーマンスを見せました。特に米国ではAI関連技術やデータセンターへの巨額投資が発表され、半導体やハードディスクといった銘柄が市場を大きく牽引しました。S&P500指数も月間で2%を超える上昇となりました。

日本市場も負けていません。日経平均はなんと16%を超える大幅な上昇を記録し、最高値を更新しました。これは電子部品や半導体製造装置関連株の好調に加え、高市政権が掲げる減税策や防衛支出拡大といった「高圧経済」への期待が株価を押し上げた形です。

今後もAI関連の投資が世界経済をけん引し続けると見られています。日本市場では「高圧経済」への期待や企業による株主還元強化の動きが引き続き株価を下支えするでしょう。地域によっては利益確定売りも見られましたが、全体としては明るい展望が広がっています。

債券市場では、米国の長期金利が月の前半に低下しましたが、月末には景気回復期待やFRBの利下げ示唆で反転しました。中期的には金利の上昇が予想されるものの、年内のFRB利下げはすでに市場に織り込まれているようです。

欧州でもドイツの長期金利が低下しましたが、フランスの政治不安などの影響も見て取れました。欧州全体としては、政策金利の据え置きや財政赤字の拡大により、長期金利は現在のレンジ内で推移する可能性が高いと予想されます。

一方、日本の長期金利は高市政権の積極的な財政政策方針を受け、景気回復への期待から上昇に転じました。追加利上げ観測も相まって、今後も金利が上がる傾向が続く「先高観」が広がっています。

為替市場では、円が対米ドルで円安方向に進みました。これは、高市新首相の「政府と日銀の協力」発言や日銀総裁のハト派的なコメントが、利上げ観測を後退させたためです。また、AI関連株の上昇を背景に、日本からの対外証券投資が拡大したことも円安を後押ししました。

今後の見通しとしては、高市政権の財政支出拡大が日本の長期金利を押し上げ、円高要因となる一方、日銀の利上げ観測後退や対外証券投資の拡大が円安要因となるため、緩やかな円高へと移行する展開が予想されます。

ユーロ・米ドルでは、フランスの政治混乱からユーロ安となりました。しかし、FRBの利下げ観測が高まる一方で、欧州中央銀行(ECB)の利下げが一巡したとみられるため、ユーロは米ドルに対して上昇し、円に対してもユーロ高で推移するでしょう。

グローバルリート市場は、地域によって異なる動きを見せました。英国、日本、香港などでは好調に推移し、長期金利の低下期待が市場を支えました。しかし、米国市場は月末に一部企業の業績ガイダンス引き下げで急落し、月間ではマイナスとなりました。

豪州もCPIの上振れで利下げ期待が後退し、上昇幅を縮小しています。結果としてグローバルリート指数は米ドルベースで下落しましたが、円安の影響で円ベースでは上昇という、少し複雑な状況でしたね。

今後のリート市場は、日米の金融政策や長期金利の動向に左右される展開が予想されます。特に米国では景気減速による不動産資産の減損処理には注意が必要です。しかし、日本のリート市場はオフィス賃貸のファンダメンタルズ改善が続いており、インフレヘッジ資産としての魅力が再評価されることが期待されています。

10月は多くの市場で好調を維持し、kackyファンドも過去最高益を更新できましたが、暗号資産の横ばいは少し残念でしたね。それでも長期投資のスタンスは崩さず、今後も市場の動向を冷静に見極めていきます。投資はマラソンのようなものです。一喜一憂せず、着実に資産を築いていきましょう!

それでは今月も長期投資で行きましょう!