ステーブルコインまとめ(6) USD1

概要

  • シンボル名: USD1
  • Ethereum アドレス(ERC-20 コントラクト):0x8d0d000ee44948fc98c9b98a4fa4921476f08b0d (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)
  • 発行元 / プロジェクト:World Liberty Financial Inc.(WLFI) (World Liberty Financial)
  • 発行開始:2025年3月(プロジェクト発表時点) (CoinGecko)
  • 発行総数(循環供給 / 時価総額)
     - 循環供給:2,683,396,003 USD1 (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)
     - 時価総額:約 2.68 B USD (CoinMarketCap)
  • Coingecko ランク#61 (CoinGecko)
  • 主な上場先 / 取引所
     - Coinbase が USD1 を上場(Ethereum ネットワーク対応版)と発表 (Cointribune)
     - Binance / BNB Chain 関連ネットワークに対応済み (AInvest)
     - 他、主要な取引所への展開が逐次進められているとの報道あり (crypto.news)

目的

USD1(World Liberty Financial のステーブルコイン)は、以下のような目的・用途を掲げています:

  • アメリカドルと 1:1 で交換できるステーブルコインとして、法定ドルの代替的なデジタル決済手段を提供 (World Liberty Financial)
  • クロスチェーン対応を強調しており、Ethereum、BNB Chain、TRON、Solana など複数ネットワーク間での送金・決済をシームレス化することを目指す (World Liberty Financial)
  • 機関(企業・銀行・国家など)を含む利用者に、安全で流動性の高いドルペグ資産を提供し、グローバル送金・決済、DeFi 活用を促進すること (CoinGecko)
  • プロジェクト全体としては、WLFI ガバナンストークンを通じたコミュニティガバナンスや、将来的にはレンディング・借入、流動性提供サービスなどの DeFi 機能を構築することを視野に入れている (World Liberty Financial)

特徴(他ステーブルコインとの比較での差異)

USD1 には、他のステーブルコインと比べて以下のような特徴・主張があります:

  1. マルチチェーン対応とクロスチェーン移動
     USD1 は Chainlink CCIP などを活用して、複数のブロックチェーン間での移動・ブリッジをサポートする構想を打ち出しており、これを「高速・柔軟な送金性」として差別化ポイントにしています (PR Newswire)
  2. 準備資産構成(米短期国債+米ドル)
     USD1 は、米国債・米ドル預金・キャッシュ等で裏付けを持つと公表されており、これを「完全担保型ステーブルコイン」としての信頼性を訴求しています (CoinGecko)
  3. 政治的・ブランド訴求および注目性
     このプロジェクトはトランプ家・アメリカ政治との関係性が強く報道されており、そこから来る注目性・議論性を利用して市場関心を引く戦略を取っている点が他の多くのステーブルコインとは異なる特徴と言えます (Fool.com)
  4. 発行と流通管理の集中性
     初期段階では流通量・発行量のコントロール・権限が強く集中しているとの指摘があり、ステーブルコインの脱・中央集権性を重視する層からは懸念される構造です (Fool.com)
  5. 運営透明性と準備金報告
     USD1 は「毎月の準備金レポート(証明書/監査)」を公表する計画を掲げていますが、現時点でその具体的な監査機関名・レポートの妥当性に関する懸念が存在します (World Liberty Financial)

ニュース(過去 1 年以内で言及されたもの)

  1. トランプの World Liberty Financial、ステーブルコイン USD1 を発表
     → Reuters による報道。「USD1 は米国債・ドル等で裏付けられ、Ethereum および BSC で発行」 (Reuters)
  2. Coinbase が USD1 ステーブルコインを上場
     → Coinbase が USD1 を上場すると発表。Ethereum ネットワーク版対応。 (Cointribune)
  3. USD1、時価総額 24 億ドルを突破、機関拡大
     → USD1 の流通拡大と機関利用拡大を報じた記事。 (AInvest)
  4. トランプに関連、USD1 ステーブルコインが MGX が関与した Binance 投資に利用
     → Reuters による報道。USD1 が MGX – Binance 間の取引構造で採用されたとの報道。 (Reuters)

(必要であれば、それぞれの記事リンクや全文を追加で送ります)


メリット(保有・利用・ステーキング)

USD1 を保有/利用することにおける主なメリットとして、次の点が挙げられます:

  • ドルペグ資産としての安定性
     米ドルと 1:1 の交換可能性を目指す設計なので、価格変動リスクを抑えた資産として使える可能性がある。
  • 高流動性と広範な取引所アクセス
     複数のチェーンで流通し、主要取引所への上場を目指すことで、流動性が確保されうる。
  • 高速なクロスチェーン送金
     マルチチェーン・クロスチェーン対応によって、国際送金やネットワーク間移動のコスト・時間を抑えられる可能性。
  • DeFi 活用
     将来的には USD1 を担保資産として、レンディング・借入・流動性提供等の DeFi 機能への応用が見込まれる。
  • 資本運用利回りの可能性
     USD1 発行事業者は、準備資産(米国債等)から利回りを得る構造を有するため、適切な運営がなされれば運営側が利得を得られる設計。 (ウォール・ストリート・ジャーナル)

ただし、現時点で明確に「USD1 をステーキングできる」構造が公表されているとは確認できていません。


リスク(保有リスク・運営リスク等)

USD1 を保有・利用する際に考慮すべき主なリスクは、以下の通りです:

  1. 準備金の透明性・監査の信頼性
     公表されている「月次準備金レポート」や監査体制の実効性には疑問が残っており、準備金の適正性が外部から完全に検証できるかどうかが不確実です。
  2. 集中管理・発行権限リスク
     発行・焼却・流通管理が発行者(WLFI 側)に集中しているため、運営判断によって流動性操作や発行量操作のリスクがある可能性。
  3. 規制リスク
     米国をはじめとする各国でステーブルコインへの規制強化が進んでおり、法的リスク(発行禁止、登録義務、資本規制等)の影響を受ける可能性。
  4. 政治的 / ブランドリスク
     プロジェクトがトランプ家・米国政治と深く結びついているため、政治変動や世論変化、政策の反発などによりプロジェクトに対する信頼性が揺らぐ可能性が高い。
  5. ペグ崩壊リスク
     裏付け資産が想定通りに機能しなかったり、流動性不足、取引所の引き出し需要過多などで 1:1 ペグが外れるリスクがある。
  6. 競合リスク
     USDC、USDT、BUSD 等、既に強固な市場シェアを持つステーブルコインとの競争が激しく、ユーザー・流動性を奪われるリスク。
  7. 技術・運営リスク
     スマートコントラクトのバグ、ブリッジ事故、ハッキング、ガバナンスミス、運営会社倒産等のリスク。
  8. 認知・採用リスク
     実際に多数のプラットフォーム・取引所で採用されなければ、用途が限定され、流動性・実用性が低くなる可能性。

ステーブルコインまとめ(5) BUIDL

概要

  • シンボル名: BUIDL
  • Ethereumアドレス: 0x7712c34205737192402172409a8f7ccef8aa2aec
  • 発行元/プロジェクト: BlackRock による USD Institutional Digital Liquidity Fund(トークン化された流動性ファンド) (Securitize)
    • このトークン化プラットフォームには Securitize が関与しており、発行・転送代理(placement agent / transfer agent)として機能しているとの記述があります。 (Securitize)
  • 発行開始 (年月): 2024年3月頃
  • 発行総数(ドル換算)$2,799,827,452 (Etherscan)
  • CoinGecko ランク#58(2025年10月時点) (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所: 一般投資家ではなく “qualified purchasers”(一定以上の資産を持つ機関投資家や適格投資家)に限定される可能性があります。

目的

BUIDL は、従来型の金融資産(主に流動性の高い債券や現金相当資産)をブロックチェーン上でトークン化し、投資家がブロックチェーン・ネイティブな形でアクセスできるようにする「トークン化流動性ファンド (tokenized liquidity fund)」という位置付けです。 (Bybit Learn)

この構造によって得られる期待される目的には以下が含まれます:

  • 債券やリスクの低い有価証券等への運用から生じる利回り(配当)を、トークン保有者に還元
  • ブロックチェーン上での相互運用性・流動性(マルチチェーン発行、トークン化による移転・取引)
  • 従来金融と暗号資産市場の橋渡し
  • 透明性・効率性の向上(例えば保有資産の証明、運用報告のチェーン上記録)

なお、いくつかの情報源では「ステーブルコインではない」「安定価格維持を目的とするものではない」「証券的性格が強い」という指摘もあります。 (Bybit Learn)


特徴(他ステーブルコインとの比較含む)

BUIDL の特徴および、ステーブルコインと比較した際の違い点を以下に整理します:

項目特徴・差異点
価格ペッグ(ペッグ方式)明確に「1 BUIDL = 1 USD」を保証すると記載されたソースもありますが、実質的には債券等の運用からの価値を基にするため、完全なペッグ保証をするステーブルコインとは異なる可能性あり。 (フィナンシャル・タイムズ)
償還性/流動性通常のステーブルコインは利用者からの引き出し・償還性を重視するが、BUIDL はファンド形式の構造を取っており、発行者(管理者)が償還を一時停止できる権限を持つ可能性を指摘する記事もあります。 (フィナンシャル・タイムズ)
配当還元性運用からの利回り(配当)をトークン保有者に分配する構造を持つ(追加トークン発行など)という性質を持つ点が、利子を生まない典型的なステーブルコインとの主な違い。 (フィナンシャル・タイムズ)
対象ユーザーの制限一部の情報源では、一般投資家ではなく “qualified purchasers”(一定以上の資産を持つ機関投資家や適格投資家)に限定される可能性があると述べられています。 (Axios)
トークン化マルチチェーン発行後、Ethereum に加えて Aptos, Arbitrum, Avalanche, Optimism, Polygon, Solana など複数チェーンで発行・展開されているという設計が報じられています。 (TDE)
資産割当・偏重報道では、BUIDL の運用資産の大部分(例:$2.7B 相当)を Ethereum 上に割り当てているという記述があります。 (The Defiant)

これらの点から、BUIDL は純粋な「ステーブルコイン」ではなく、「トークン化された利回り型流動性ファンド」として、ステーブルさと運用性を組み合わせたハイブリッドな性格を持つものと捉えるのが妥当だと考えられます。


ニュース(過去1年以内)

以下は、BUIDL に関連して報道された主なニュースです:

  1. BlackRock BUIDL Fund gains $600M AUM in two weeks on Ethereum
     Ethereum 上での BUIDL の資産運用額が短期間で急増したという報道 (Crypto Briefing)
  2. BlackRock BUIDL Fund Hits $600M AUM Surge on Ethereum-Driven Growth
     同様に BUIDL の AUM 増加とマルチチェーン展開を扱った記事 (CoinCentral)
  3. BlackRock’s BUIDL Fund Puts $2.7B on Ethereum as Stablecoins Hold 0.5% of US Debt, Solana Hits $13.1B
     BUIDL の資産配分(特に Ethereum 上での割り当て比率)を報じた記事 (The Defiant)

(補足:これらはすべて “BUIDL” を扱った記事ですが、ステーブルコインという観点のみを扱っているわけではなく、トークン化ファンドとしての視点を含みます。)


メリット

BUIDL に投資または保有することの潜在的なメリットには以下が考えられます:

  • 利回り獲得: 運用資産からの収益(利子・配当相当)をトークン保有者として受け取る可能性
  • 流動性と取引可能性: ブロックチェーン上トークンとして扱われることで、分割・送金・交換の自由度が高い
  • 透明性: 保有資産・運用状況がブロックチェーンや公開情報を通じて追跡できる可能性
  • 従来資本市場との橋渡し: 伝統資産(例:債券、流動性ファンド等)へのアクセスを暗号資産インフラ経由で実現
  • 相互運用性: 複数チェーンで発行されているため、異なるネットワーク間でトークンを移動させやすい可能性

ただし、これらのメリットは理想・意図ベースであり、実際の設計・運用・規制環境によって制限される可能性があります。


リスク

BUIDL を保有・投資する際に考慮すべきリスク点は以下の通りです:

  • 償還停止リスク/引き出し制限: 管理者が償還を一時停止する権限を持つ可能性(流動性が逼迫した場合など)を指摘する記事あり (フィナンシャル・タイムズ)
  • 価格乖離リスク: 運用資産の評価変動がトークン価格に影響を与える可能性。完全なドルペッグが保証されていない構造
  • 信用リスク・運用リスク: 運用資産(債券、現金等)が信用不安・金利変動・市場ショックに晒される可能性
  • 流動性リスク: トークン自体の取引量が少ない、マーケットメイクが不十分でスプレッドや取引コストが高くなるリスク
  • 規制リスク: 証券性トークン・ファンド性をもつ可能性があるため、証券規制・金融規制の適用対象となるリスク
  • 信用・信頼リスク: 発行元や管理者、信託機関、プラットフォーム(Securitize など)の信頼性に依存
  • クロスチェーンリスク: 複数チェーン展開をする設計ゆえ、ブリッジや相互運用の脆弱性、ハッキングリスクが存在

ステーブルコインまとめ(4) USDS

USDS(“Sky Dollar”)DAI

USDSとDAIは同じ発行元のバージョン違いということで1記事にまとめています。

概要

  • シンボル名:USDS (CoinMarketCap) DAI (CoinMarketCap)
  • Ethereum(ERC-20)アドレス:
    USDS 0xDc035d45d973e3Ec169d2276DDab16F1E407384F (BeInCrypto)
    DAI 0x6B175474E89094C44Da98b954EedeAC495271d0F (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)
  • 発行元プロジェクト:Sky Protocol(旧 MakerDAO リブランディング後) (Messari)
  • 発行開始(移行 / ローンチ時期):正式には 2025年9月に Sky の新 dApp と共にローンチ、DAI から USDS への移行可能となった (The Defiant) 最初の “Single-Collateral DAI (SAI)” は 2017年12月ごろ (ウィキペディア)
  • 発行総数(循環供給):約 7,987,254,092 USDS (CoinGecko) 4,548,123,165DAI
  • CoinGecko ランク:#29 (CoinGecko) #43 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所 / 流動性プール:Uniswap(Ethereum 上)で取引可能 (app.uniswap.org)

目的

  • Sky Protocol(MakerDAO の後継・再構築プロジェクト)の中心的ステーブルコインとして位置づけられている。 (Messari)
  • DAI からの移行という位置づけ:DAI を USDS に 1:1 で変換できる仕組みを提供することで、既存の DAI 保有者を新エコシステムに誘導 (The Defiant)
  • USDS 保有者が「Sky Savings Rate(SSR)」と呼ばれる預金により利回りを得る仕組みを提供すること (Nansen)

特徴・強み

  • モジュラー設計 / 再構築されたガバナンス:MakerDAO を改編して Sky に再構成。トークンの統合、サブDAO (“Stars”) の導入などが計画に含まれる (Pintu)
  • 移行性:既存の DAI を非カストディアル(ユーザーの資産を保持したまま)で USDS に 1:1 で変換可能な設計 (The Defiant)
  • 利回り機能:USDS を預け入れることで利回りが得られる SSR(Sky Savings Rate)というメカニズムを設置 (Nansen)
  • 段階的な移行と共存:DAI/MKR は当面は残す形で、USDS/SKY との併存を可能とする道を取る設計 (The Defiant)

ニュース(過去1年以内)

以下は USDS / Sky に関連する注目ニュース例です:

  1. One year into Sky, adoption lags behind vision — Sky は DAI → USDS 移行後 1年での採用進捗の難しさを指摘 (Blockworks)
  2. Coinbase Adds SKY and USDS to Roadmap — Coinbase が USDS と SKY を上場ロードマップに追加したと発表 (BeInCrypto)
  3. Sky Completes Rebrand By Launching New dApp and Tokens — MakerDAO のリブランディングとして Sky、USDS、SKY をローンチした記事 (The Defiant)

メリット

  • 利回りを得られるステーブルコイン:USDS を SSR に預けることで収益を得られる可能性がある
  • DAI 互換性と移行の容易さ:既存 DAI 保有者が資産を移行しやすい
  • ガバナンス参加:SKY トークンとの組み合わせで、プロトコル運営に参加できる可能性
  • 将来的な拡張性・モジュラー化:Sky 設計により、他の機能やモジュールを追加しやすい基盤

リスク

  • 採用リスク:Blockworks 記事によれば、USDS の成長が停滞しており、DAI の勢いが見直されつつあるとの指摘がある (Blockworks)
  • スマートコントラクトリスク:新仕様・新コードにはバグや経済設計の抜け穴のリスク
  • ガバナンスリスク:初期段階では投票支配や権力集中の懸念
  • 利回り誘導リスク:高利回りインセンティブが持続可能かどうか
  • 移行の摩擦と混在:DAI と USDS の併存期間、両者間の資金移動コストやユーザー混乱

ステーブルコインまとめ(3) USDe

概要

  • シンボル名: USDe (USDE)
  • Ethereumアドレス(コントラクトアドレス): 0x4c9EDD5852cd905f086C759E8383e09bff1E68B3
  • 発行元 / プロジェクト: Ethena(Ethena Labs)
  • 発行開始: 2024年9月
  • 発行総数(循環供給): 約 14,826,879,485 USDE (CoinGecko)
  • CoinGecko ランク: #16 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所
      - Binance(USDE/USDT) (CoinGecko)
      - Bybit (CoinGecko)
      - Phemex (CoinGecko)
      - Uniswap(Ethereum DEX) (CoinGecko)
      - そのほか複数の CEX / DEX で取引あり (CoinGecko)

目的

USDe は、従来の法定通貨担保型ステーブルコイン(USDC / USDT 等)とは異なるアプローチを採る「合成ドル(synthetic dollar)」です。(Ethena Documentation)

主な目的・特徴としては:

  • 銀行・法定準備金などに依存しない、より分散化されたドル代替手段を提供すること (Ethena Documentation)
  • ユーザーに対して、保有中に利回りを得られるよう設計されている(ステーキング等を通じて) (CoinMarketCap)
  • 暗号資産とデリバティブを組み合わせてリスク中立にヘッジし、ドルペッグを維持するメカニズムを用いること (Exponential DeFi)
  • 他のブロックチェーン(例:Solana、将来的には Sui など)にも拡張し、マルチチェーン環境で利用性を広げること (CoinMarketCap)

特徴(他ステーブルコインとの比較・差別点)

USDe が持つ主な特徴や差別化要素は以下の通りです:

特徴説明
合成ドル / デリバティブヘッジ型USDe は暗号資産を担保にしつつ、イーサ等の価格変動を相殺するため、ショートポジション(先物・パーペチュアルなど)を取る「デルタ・ヘッジ」戦略を用いる (Exponential DeFi)
利回り獲得可能性ステーキングやデリバティブのファンディングレート収益を通じて、保有者に“稼ぐドル”として機能するように設計されている (CoinMarketCap)
分散化 / 非中央集権性重視銀行準備金や法定資産に頼らないモデルで、暗号ネイティブな方式に重点を置いている (Ethena Documentation)
動的担保構成担保として利用される資産(ETH、LSTs、USDC/USDT 等)およびヘッジポジションは市場状況に応じて調整される可能性がある (Exponential DeFi)
拡張性 / マルチチェーン戦略Ethereum 以外のチェーン(Solana など)にも導入を拡大しており、より広いエコシステム統合を目指している (CoinMarketCap)

これに対し、USDC / USDT のような典型的なステーブルコインは、法定ドルおよび短期債券等の準備金を裏付け資産とし、価格安定性を維持する方式を取ります。USDe のモデルはこれとかなり異なります。


ニュース(過去1年以内)

以下は USDe(あるいは Ethena / 関連)について、直近1年以内に報じられた主なニュースの例です:

  1. Ethena Labs、USDe を Solana ネットワークへ導入
     → 2024年8月、Solana ネットワーク上で USDe を展開することを発表 (CoinMarketCap)
  2. Ethena が USDtb ステーブルコインを発行、USDe リスク軽減を目指す
     → Ethena が BlackRock の BUIDL ファンドを担保基盤とする USDtb を立ち上げ、USDe モデルのリスクヘッジ策を多様化させる構想 (CoinMarketCap)
  3. SUI グループと Ethena が提携、Sui ネイティブの suiUSDe / USDi を立ち上げへ
     → SUI Network 上で USDe 系列のステーブルコインを展開する計画を発表(2025年) (ビジネスワイヤ)

(他にも CoinMarketCap の「Latest Updates」での開発ロードマップ言及などがあります) (CoinMarketCap)


メリット(保有・ステーキング等の利点)

USDe を保有・ステークすると得られる可能性があるメリットは、以下のような点が挙げられます:

  • 利回り獲得: USDe をステーキングして sUSDe に変換することで、プロトコル収益の一部を受け取れる仕組み。(MEXC Blog)
  • ドルの代替手段としての保全性: 伝統的な銀行体系や法定通貨準備金とは独立した手段として、ドル価値を相対的に保持することを目指している点 (Ethena Documentation)
  • 流動性・構成性: DEX や CeFi 上で容易に交換でき、他の DeFi 構成要素と組み合わせて利用できる可能性 (Ethena Documentation)
  • 規制・検閲耐性: 中央集権的な管理や銀行依存を最小化する設計により、アクセス性や検閲抵抗性の向上を目指すポジティブな側面 (OctoBot)

リスク(保有に伴うリスク)

USDe のユニークな構造ゆえに、以下のようなリスクも存在します:

  • 資産価格変動リスク: 担保として保持される暗号資産(ETHやその他暗号資産など)の価格変動が、ショート戦略で十分にヘッジできない場合、担保不足や損失リスクが生じうる (Exponential DeFi)
  • ショートポジションの逆相関リスク: ヘッジ目的で取るショートポジション(先物/パーペチュアル等)が、予期しない動きをしたり、ファンディングレートが逆行したりするなど、計画外のコストや損失を被る可能性 (Exponential DeFi)
  • スマートコントラクトリスク: プロトコルのコントラクトにバグ、脆弱性があった場合、金銭のロスや不正利用のリスクがある
  • 流動性リスク / デリバティブ市場依存: ヘッジポジションを取る先物市場/デリバティブ市場の流動性が低くなると、実行コストが跳ね上がる恐れ
  • モデルリスク: このデルタ・ヘッジモデルが長期にわたって持続可能かどうかは未知。市場状況や極端なショックに耐えられるかどうかは挑戦的
  • 規制リスク: 特に「合成ドル」「利回り付ステーブルコイン」という構造は、各国の金融規制当局から注視される可能性が高い
  • アルゴリズム変動リスク: 担保構成やヘッジポジションの比率変化(プロトコルの自動調整)により、保有者にとって不利な挙動が生じる可能性

ステーブルコインまとめ(2) USDC

概要

  • シンボル名: USDC
  • Ethereumアドレス(ERC-20 コントラクトアドレス): 0xA0b86991c6218b36c1d19d4a2e9Eb0cE3606eB48
  • 発行元 / プロジェクト: Circle 等。Centre コンソーシアム由来。
  • 発行開始: 2018年9月
  • 発行総数 / 流通量
     Circulating supply(流通量):約 74,000~75,000 百万 USDC 相当(ドル建てで概算)
  • CoinGecko ランク#7 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所: Binance、Coinbase、Kraken、OKX 等ほぼ全ての主要取引所

目的(ユースケース/プロジェクトの概要)

USDC は「ドルペッグされたステーブルコイン(1 USDC = 1 USD 相当を目指す)」として設計されており、主に次の用途・目的を持ちます:

  • 暗号資産間の取引におけるステーブル資産:仮想通貨のボラティリティを避けつつ、チェーン上での移動手段として使われる。
  • 決済手段:DeFi アプリ、支払い、融資、レンディング、ステーブルな価値交換などに利用。
  • ブロックチェーンと法定通貨の橋渡し:法定通貨(米ドル)とブロックチェーン上の価値を結びつける手段。
  • 準備金運用収益:USDC の準備金は流動性の高い現金や短期国債などで運用され、利息収益を得ることが可能。 (circle.com)
  • 規制対応・透明性を重視:Circle は準備金の透明性、公表、監査などを経て、規制適合性を高めようとしている。 (circle.com)

特徴(他のステーブルコインと比べて)

USDC が持つ特徴・強みおよび差異点を以下に挙げます:

特徴内容
100% 準備金担保(fully backed)USDC は発行枚数に対して十分な支払準備金(現金・短期国債等)を保有し、いつでも 1:1 交換を目指しているとされる。 (circle.com)
透明性と定期報告Circle は準備金の保有構成、公表、独立第三者によるアシュアランス(保証報告)を実施。 (circle.com)
マルチチェーンでの展開Ethereum だけでなく、Arbitrum、Avalanche、Polygon、Base など複数ブロックチェーンで使えるように展開。 (ウィキペディア)
規制準拠重視/信頼性志向規制対応・コンプライアンスを重視する姿勢を前面に出しており、機関投資家からの信頼を得やすい傾向。 (osl.com)
過去のデペッグ事象2023年、Silicon Valley Bank(SVB)の破綻により、USDC の準備金の一部が影響を受け、一時的にドルペッグを失った経験あり。 (ウィキペディア)
トロン(TRON)からの撤退リスク管理を理由に、Circle は TRON 上での USDC 新規発行を停止。 Binance などでは TRON 経由での入出金サポート終了の動きも。 (Reuters)

ニュース(過去1年以内で USDC に関連する主なもの)

以下は、USDC またはその発行元 Circle に関して、最近報じられた主なニュース例です:

  1. Circle Internet Group、IPO 目標額を引き上げ — USDC の採用拡大を背景に
     Circle が IPO に向けて発行株数・価格範囲を拡大する計画を発表。USDC 拡張が背景との報道。 (Reuters)
  2. Circle の NYSE 上場、初値急騰
     Circle が NYSE 上場し、USDC 発行体の公開会社化が実現。上場初日に大幅上昇。 (Cinco Días)
  3. Binance、TRON 上の USDC サポート終了を発表
     Circle の方針と連動し、Binance は TRON ネットワークを通じた USDC の入出金を停止。 (Reuters)

(これら以外にも、ステーブルコイン全体を巡る規制動向や監督当局の発言、暗号資産業界での議論などで USDC が言及されることが多いです。)


メリット(USDC を保有/活用する利点)

  • 価格安定性:1 USDC ≒ 1 USD の価値を維持するよう設計されており、価格変動リスクが小さい。
  • 決済・送金の利便性:国際送金、スマートコントラクト決済、DeFi 活用などに使いやすい。
  • 運用収益機会:USDC の準備金は安全性の高い資産で運用され、その利息(準備金収益)から発行体が収益を得る構造。
  • 規制・信頼性:透明性、報告制度、コンプライアンス重視の方針が投資家に安心感を与える。
  • DeFi エコシステムとの親和性:多くのレンディング・流動性プール・ステーブル貸出などで使われており、流動性も高い。
  • 流動性・市場受容性:多くの取引所で取扱われており、売買・交換の流動性が豊富。

リスク(USDC を保有/利用する際の主な懸念点)

  • 準備金リスク / 信用リスク:準備金運用先(銀行、国債、その他短期資産等)の信用不安や流動性リスクが USDC の裏付けに影響を及ぼす可能性。
  • デペッグリスク:極端な市場ショックや準備金の問題が発生した場合、1 USDC = 1 USD のペッグを失うリスクがある(過去に SVB 関連リスク事象あり) (ウィキペディア)
  • 流動性リスク / ランの可能性:万一大規模な資金引き出しが発生した際、変動性・流動性の問題によって交換が円滑でなくなる可能性。研究では USDC に対する年率「ラン」リスクも指摘されている。 (Investopedia)
  • 規制リスク:ステーブルコインに関する規制強化、法制度変更、監督当局の方針転換などが将来的リスクになる可能性。
  • ブリッジ/ネットワークリスク:マルチチェーン対応のためにブリッジを介するケースがあり、スマートコントラクト脆弱性やブリッジ失敗リスクも。
  • 集中管理リスク:発行体である Circle による管理・運用・方針変更などのリスク。
  • インフレ・金利リスク:USDC の準備金利率が変動すれば発行体収益や健全性に影響。

ステーブルコインまとめ(1) USDT

こんにちは。kackyです。最近はDeFi分野、特にステーブルコインが盛り上がりを見せており、毎週月曜に通貨の情報まとめを連載することにしました。発行総数の多い順に紹介していきたいと思います。まずは最も発行されているステーブルコインであるUSDTについてです。

※なおこのシリーズの記事は生成AI(ChatGPT)を利用して作成しています。一通りチェックしていますが、間違いや幻覚を含む可能性がありますので投資判断は自己責任でお願いします。

項目内容
シンボル名USDT
Ethereumアドレス(ERC-20)0xdac17f958d2ee523a2206206994597c13d831ec7
発行元プロジェクトTether Limited
発行開始2014年10月
発行総数 (circulating supply)176,241,404,874 USDT
CoinGecko ランク#4 (CoinGecko)
上場する主な取引所Binance, Coinbase, Kraken, Huobi, OKX 等

補足:

  • Tether(USDT)はERC-20以外にも、Tron (TRC-20)、Solana、Polygon など複数チェーン上で発行されています。 (ウィキペディア)
  • Circulating supply(流通量)は、ERC-20 1チェーンだけでなく、全チェーン合算でカウントされることが多い。上記の数値はコインマーケットキャップによる総量。 (CoinMarketCap)

目的

USDT(Tether)は、米ドルと 1:1 で連動することを目指すステーブルコインで、暗号資産(仮想通貨)空間における「ボラティリティ回避手段」や「交換手段」として広く使われています。主な用途を以下に整理します:

  • 暗号資産トレーディングの基軸通貨・決済通貨
  • 暗号資産から法定通貨に移す・戻す際の手段
  • DeFi(分散型金融)プロトコルでの資産担保・流動性提供
  • 国際送金、ブリッジ、決済用途(暗号圏 → 暗号圏)
  • 暗号ウォレット間の価値移転時の安定手段

つまり、価格変動の激しい仮想通貨を扱う際に、「ドルにペグされた資産を使って価値を保全するインターフェース」として、他通貨・他資産との橋渡しをするのが主目的です。


特徴

USDT の特徴、他ステーブルコイン(たとえば USDC, DAI 等)との比較を含めて:

  1. 最大級の流動性と採用実績
     USDT は最も広く利用されているステーブルコインのひとつで、多くの取引所・ペアで取引の媒介に使われています。
  2. 複数チェーン展開
     Ethereum だけでなく、Tron、Solana、Polygon など複数のブロックチェーン上で発行され、チェーン間の相互運用性を持つ。これにより、各チェーンの特徴(手数料、速度など)を活かせる。 (ウィキペディア)
  3. 準備金運用戦略
     Tether は保有する準備金(特にアメリカ国債など)を大規模に使う戦略を取っており、特に短期国債市場における影響も指摘されている。ある研究では、Tether が短期米国債の大量保有者であることが、債券利回りに影響を与えている可能性が論じられている。 (arXiv)
  4. 透明性・監査性に関する議論
     USDT は過去に「準備金の完全性・透明性」に関して批判されることが多く、他のステーブルコインと比べて報告・監査体制の信頼性に関する懸念が強いという評価もある。
  5. 凍結・ブラックリスト機能
     USDT のスマートコントラクトには、特定アドレスを凍結(トークンの移動を無効化)する機能を有する実装がされていることが知られており、規制・司法措置に対応する余地が残されている。 (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)

ニュース(過去1年以内)

以下、近年の USDT / Tether にまつわる注目ニュースを 3 件ほど挙げます:

  1. 暗号取引所 Garantex のウォレット凍結
     EU の制裁対象になったロシア系取引所 Garantex に対し、Tether 側がそのウォレットで保有する USDT を凍結したと報じられ、取引停止を余儀なくされた。 (Reuters)
  2. 米国向け規制対応の新ステーブルコイン “USA₮” 発行計画
     Tether 社は、米国居住者向けに、2025年中に新たな U.S. 規制準拠型ステーブルコイン「USA₮」を発行する計画を発表。これにより、USDT の米国内展開を強化する意向と見られる。 (Reuters)
  3. Tether の資金調達および企業評価拡大動向
     Tether は 500 億ドル規模の評価額を目指した資金調達ラウンドを検討しているという報道があり、企業としての拡張戦略が注目されている。 (フィナンシャル・タイムズ)

メリット

USDT を保有・利用する上での主なメリットは以下の通りです:

  • 価格変動リスクの低減:暗号資産のような激しい価格変動から逃れつつ、ブロックチェーン上で速く移動できる
  • 流動性・交換性:多くの取引所・プロトコルと連携しており、売買・交換がしやすい
  • 送金・決済の効率性:従来の銀行を通さずに即時または高速な移動が可能
  • 利回り獲得の機会:DeFiプラットフォーム上でステーキングや貸付を通じて運用収益を得られる可能性(ただし契約条件やプロトコルリスクあり)
  • 安定資産との橋渡し:他の暗号資産に対して「安定的な基軸通貨」として使える

リスク

USDT を保有または利用する際には、以下のリスクに注意が必要です:

  1. 準備金・透明性リスク
     発行体(Tether)が主張する準備金が実際に十分か/適切に管理されているかの信頼性に疑念を持つ声が根強い。
  2. 信用リスク
     Tether 社自体の運営・規制対応・訴訟リスクが USDT の信頼性に直結する。
  3. 規制リスク
     国・地域によってステーブルコインに対する規制が強化される可能性。特に米国では最近、GENIUS Act によるステーブルコイン規制の枠組みが整備されつつある。 (ウィキペディア)
    また、Tether 自体の国際的な規制対応が将来の運用や可用性に影響を与える可能性。
  4. 流動性リスク / 取り付け騒ぎ(ラン)
     多数のユーザーが一斉に引き出しを求めるような局面において、準備金の流動性が足りずにペグを維持できなくなる可能性。
  5. 技術的リスク・スマートコントラクトリスク
     ERC-20 スマートコントラクトや関連ブリッジ/ラッピングの脆弱性、ハッキングリスク、バグなどにより資産が失われる可能性。
  6. 凍結・ブラックリスト対応
     前述の通り、Tether のスマートコントラクトには特定アドレスの凍結機能があり、規制当局の要請などで資産移動が妨げられる可能性もある。
  7. 市場リスク・ペグ逸脱
     取引所レベルで需給が偏れば一時的に USDT が 1 ドルを大きく上回ったり下回ったりする(ペグ離脱)局面も起こり得る。
  8. 集中保有リスク
     USDT の保有量が一部の大口アドレス・取引所に集中していると、それらの動きが市場に大きく影響を与えやすい。