MARS投資と呼ばれる投資法で資金を集めてきたMRIインターナショナルが投資資金を不正に流用していた疑いで捜査をうけたようです。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK066492920130426
私はこのMARS投資について過去に警告を発していました。
https://www.kacky-investment.net/?date=20110517#p02
じゃあ、リスクはないの?ありありだ。問題はこのMARSってやつの回収率である。そもそもこのMARSってやつの回収率は30%くらいしかないらしい。だからこそ病院はこういうブローカーにとっとと売りつけたいわけ。購入したうちの30%しか回収できないとしたら、もし表面の利回りが6%あったところでちっとも儲からないことは明白だ。
ところが、この会社の怪しいところはMARSがもし不良債権化した場合の投資元本の扱いが明記されていないところだ。普通なら、投資した分から不良債権化した金額が都度差し引かれるものだ。ところが、この投資商品はそういったスキームが明文化されていない。もしかすると、というかかなり高い確率でそういった損失は新たな投資家の元本で補填されているかもしれない。これはいわゆるねずみ講だ。
ロイターの記事によれば
監視委の調査で、同社では分別管理が適切に行われておらず、少なくとも2011年以降、顧客からの出資金を他の顧客に対する配当金や償還金に流用していたことが判明。さらに、支払い遅延が生じているにもかかわらず、信託口座の状況を顧客に適切に説明せず勧誘を継続しており、顧客に対して出資金の使途や配当金の支払いについて虚偽の告知をしていた。
私の予感は的中したようです。記事を更に読み進めると始めっからMARS投資なんてもので運用などしておらず、初めからポンジ・スキームによる詐欺を狙っていた可能性も疑われています。
これに投資してしまった人はお気の毒、としか言いようがありません。でも、「生活設計が崩れた」とか「絶対安全だと説明していたのに」はいただけません。投資を判断したのは自分自身です。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130426/crm13042611480006-n1.htm
これまで、いろいろな巨額詐欺事件を見てきましたが、これらには以下の共通点があります。
- もっともらしいビジネスモデルを掲げる(エビの養殖、和牛、ラブホビジネスとか)
- 相場とかけ離れたリターン(ノーリスクで年間6%とか10%とか)
- 過去の実績を強調する(過去数年間、満額償還実施!など)
- ファンドの運用実態を絶対に公表しない(プライベートうんたらとか企業秘密を利用した投資とかもっともらしい理由をつけて)
これらの詐欺の手口は長期投資家の精神と分別をもってすれば、たやすく見破ることができたはずです。なぜならば我々長期投資家は常日頃から次のようなことを心がけているからです。
- ビジネスモデルは永続可能であること。
- 相場と同レベルのリターンを目指す。リスクは自らコントロールする。
- 過去の実績は未来のリターンと何ら関係がない。
- 運用実態、経営状態は徹底して公開を求める。
詐欺をやっている人たちから見たら、長期投資家が常日頃から頭を振り絞って考えているような、ビジネスモデルが継続可能かとか、リターンはリスクに見合ったものかなどというのは全くどうでもよい話です。要は相手を目先にある配当やらで釣っておいて、お金を引き出せばよいのですから。彼らのやることは長期投資の精神から逆行した性質を持っていますから、長期投資家はこのようなものに投資をすることは決してありません。
私は社会人なら皆、長期投資などの基本的な金融知識を身につけることが必要ではないかと常々思います。このブログをみて少しでも投資詐欺を見破る力を身につけていただければと願います。