ステーブルコインまとめ(12) SyrupUSDC

  • シンボル名: SyrupUSDC
  • Ethereumアドレス: 0x80ac24aa929eaf5013f6436cda2a7ba190f5cc0b (CoinGecko)
  • 発行元 プロジェクト: Maple Finance(“Syrup” 部分として運営) (maple.finance)
  • 発行開始: 公式に「発行開始年月」が明記されている情報は見つかりませんでした。ただし、記事によれば “the protocol launched syrupUSDC in 2024” と記載があり、2024年中にローンチした可能性が高いです (CryptoSlate)
  • 発行総数 (ドル換算): およそ$1.2B (The Defiant)
  • coingecko ランク: #101 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所:
      – Orca (Solana DEX) (CoinGecko)
      – Raydium (Solana) (CoinGecko)
      – Uniswap V4 (Ethereum) (CoinGecko)
      – DEX (Ethereum レイヤー) via Uniswap / Balancer の流動性プール (maple.finance)

目的

syrupUSDC は、Maple Finance が提供する “利回り付きステーブルコイン (yield-bearing stablecoin)” です。ユーザーが USDC を預け入れると、syrupUSDC(ERC-20 トークン)として受け取り、それを通じて Maple の貸付プール(主に機関借り手向けの過剰担保ローン市場)に資金を供給し、その貸付利息を分配として得る構造を持ちます (IQ.wiki)

この構造により、利回りを享受しつつ(=ステーキング的な性質)、いつでも流動性を保ちやすい形(流動性プール経由での即時引き出し可能性)を目指してます (maple.finance)

最近では、Ethereum だけでなく Solana 上にも展開し、異なるチェーンにまたがる相互運用性を強化することで、より流動性・利用性を高める戦略を取っています (maple.finance)


特徴

syrupUSDC の他のステーブルコインとの差別点・特徴は以下の通りです:

特徴説明 / 意義
利回り付きステーブルコイン単なるステーブルコインではなく、保有中に利息を得られる構造
即時流動性(即時引き出し)Uniswap や Balancer の流動性プールを通じて、いつでも USDC へスワップ可能とする仕組みを導入済み (maple.finance)
過剰担保ローンに基づく利回り源泉利回りは Maple の機関ローン市場から得られる収益に基づく (IQ.wiki)
マルチチェーン対応Ethereum だけでなく、Solana でネイティブ展開。Chainlink の CCIP(Cross-Chain Interoperability Protocol)を使って橋渡し機能を持たせている (maple.finance)
流動性最適化戦略導入Arrakis による流動性オーケストレーション戦略を活用し、ステーブルコインとその利回り版間のプール効率を改善する試みが行われている (arrakis.finance)

ニュース(過去1年以内)

以下、syrupUSDC に関連する最近のニュースを 3 件ピックアップします:

  1. Maple’s SyrupUSDC Surpasses $1 Billion Supply Amid Arbitrum Expansion
     2025年9月、syrupUSDC の供給量(時価ベース)が 10 億ドルを突破したと報じられました (The Defiant)
  2. Crypto Lender Maple Finance Expands to Solana With Chainlink
     2025年6月、Maple が syrupUSDC を Solana 上でも展開すると発表。Chainlink CCIP を活用する形での相互運用性強化が取り上げられています (CoinDesk)
  3. Arrakis Launches Liquidity Orchestration for Yield-Bearing Stablecoins: SyrupUSDC Case Study
     2025年に Arrakis が、利回り付きステーブルコイン(特に syrupUSDC)を対象に流動性最適化戦略を導入したという事例記事が出ています (arrakis.finance)

(補足)また、Maple は「syrupUSDC を Solana に拡張」した旨を自社サイトでも発表しています (maple.finance)


メリット

syrupUSDC を保有・運用することには、以下のようなメリットが考えられます:

  • 利回り獲得:単なるステーブル保有ではなく、貸付収益から得られる利息を受け取れる
  • 流動性確保:いつでも USDC 等にスワップできる流動性プールが存在するため、流動性を犠牲にしにくい
  • 低リスクなステーブル性:元本が USDC に裏付けられており、価格変動のリスクは抑えられている設計
  • マルチチェーン利用:Ethereum、Solana といった異なるチェーンでのアクセス性
  • 流動性最適化戦略へのアクセス:Arrakis などの最適化技術によってプール効率が高まり得る

リスク

一方で、syrupUSDC を保有・利用する際には以下のようなリスクも存在します:

  • デフォルトリスク / 借入先リスク:利回りは機関向けローン収益を原資としているため、借り手が返済不能になった場合のリスク
  • スマートコントラクトリスク:バグや攻撃、脆弱性など、コントラクトのセキュリティリスク
  • ペグ崩壊リスク:理論上 1 USD に対するペグが維持される設計だが、需給変動や大規模な流動性ショックで乖離する可能性
  • 流動性ショックリスク:極端な市場混乱時には流動性プールが足りず、スリッページや遅延が発生する可能性
  • クロスチェーンリスク:Ethereum ⇄ Solana 間での橋渡しや相互運用性機構(例えば CCIP)に依存するため、クロスチェーン機構のリスクも関与
  • 中央化・管理権限リスク:発行契約者が将来的に手数料やミント機能を変更できる可能性(特に初期発行時点では統制構造が強い可能性)という指摘もあります (IQ.wiki)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です