ステーブルコインまとめ(10) USDtb

概要

  • シンボル名: USDtb(USDTB)
  • Ethereumアドレス: 0xC139190F447e929f090Edeb554D95AbB8b18aC1C (Coinbase)
  • 発行元・プロジェクト: Ethena Labs (USDtb のドキュメントで “USDtb” は Ethena プロジェクトの一部と記されている) (docs.ethena.fi)
  • 発行開始: 2024年12月(公式リリースによれば 2024年12月) (Gate.com)
  • 発行総数(循環供給量): 約 180億USD(1.8 B USDTB) (CoinGecko)
  • Coingecko ランク: #69 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所:
      – Fluid(Ethereum DEX) において USDE/USDTB のペアで流動性あり (CoinGecko)
      – Bybit(CEX) で上場発表あり (USDtb)
      – Curve(Ethereum 上) にもペアがあるとの記載あり (CoinGecko)

目的

USDtb の目的・設計意図を以下に整理します:

  • USD に 1:1 ペッグされたデジタルドルとして機能し、支払い、送金、保有、取引資産として使われることを想定 (docs.usdtb.money)
  • 他のステーブルコインとは異なり、主に 機関グレードのトークン化された米国財務商品(国債、短期金融商品等)を裏付け資産とする ことで “全額裏付け” を目指す設計 (docs.ethena.fi)
  • Ethena の他のステーブルコイン(例:USDe)とのリスク分散や安定性補完用途も念頭にあるようで、マーケットの資金移動やネガティブなファンディング率の状況下で資金が USDtb にシフトするような構造を想定しているという記述もある (The Defiant)
  • また、アメリカの新法「GENIUS Act(もしくは “GENIUS Act 準拠”)」に適合させることで、米国内での発行・流通を合法的・規制対応型に行いたいという戦略が取られているという報道もある (Unchained)

特徴(他のステーブルコインと比較しての差異・強み)

USDtb の設計にはいくつか注目すべき特色があります:

  1. 裏付け資産の質
     USDtb は主に BlackRock の「BUIDL(USD Institutional Digital Liquidity Fund)」というトークン化された流動性ファンドを裏付け資産として利用する設計で、これは米国国債、現金、レポ等を含む機関グレード資産を束ねたものとされている (CoinMarketCap)
     このような設計は、単純な現金担保型ステーブルコイン(例:USDC など)や部分担保型/アルゴリズム型ステーブルコインとの違いになる可能性がある。
  2. クロスチェーン対応と流動性展開
     発表では、Ethereum だけでなく Solana、Base、Arbitrum など複数チェーンでの展開を行う構想があるとされている (The Defiant)
     また、LayerZero などを介した “シームレスな” クロスチェーン機能を持たせたいという記述も報じられている (The Defiant)
  3. 規制適合性・透明性志向
     米国の新法 “GENIUS Act” に適合させる意図が報じられており、それに伴う監査、準備、資産裏付け・運営体制などを制度的に整える姿勢があるようだという報道がある (AInvest)
     また、ドキュメントや公式サイトでは “完全に裏付けられた(fully backed)” ステーブルコインとして透明性を打ち出している記載がある (docs.usdtb.money)
  4. リスク管理・資金シフトの機構
     USDtb は、Ethena のエコシステムにおいて、USDe 等他のトークンから資金を移し替えるクッション役を果たす可能性を持たせた設計とされている(市場ストレス時の安定性補強) (The Defiant)

ニュース(過去1年以内)

以下は、USDtb に関連する比較的新しい記事(あるいは報道)です:

  1. Ethena Taps Anchorage to Issue $1.5B USDtb Stablecoin Under GENIUS Act — Ethena が Anchorage Digital と組み、GENIUS Act 準拠で 15 億ドル規模の USDtb 発行を目論むという報道 (Unchained)
  2. Anchorage Digital Joins Forces with Ethena to Unveil First GENIUS-Compliant USDtb in the U.S. — GENIUS 法に則る最初のステーブルコインとしての USDtb 発表の報道 (CryptoNinjas)
  3. Ethena Labs Unveils USDtb Stablecoin, Backed by BlackRock’s BUIDL — USDtb の公開およびその裏付け資産構造についての報道 (The Defiant)

(このほかにも、たとえば Bybit 上場や流動性措置に関する報道が公式サイトで出ています) (USDtb)


メリット

USDtb を保有・利用することによる潜在的なメリットには以下が考えられます:

  • 安定性・信頼性
     質の高い裏付け資産を用い、透明性を意識した設計で「完全裏付け型ステーブルコイン」としての信頼を得やすい可能性がある。
  • 流動性と利便性
     複数チェーン展開や DEX / CEX 上場により、資産移転や交換が比較的容易になる可能性。
  • 規制適合性
     GENIUS Act 準拠を目指すことで、将来的には米国法領域での利用許可や機関投資家の参入障壁を低くできる可能性。
  • エコシステム補完性
     Ethena の他トークン(USDe など)との連動・リスク分散構造に組み込まれているため、エコシステム内で資金を最適化できる可能性がある。

リスク

しかしながら、USDtb に固有あるいは共通するリスクも無視できません:

  • 裏付け資産リスク/信用リスク
     BUIDL やその他トークン化された資産運用体制・信用性が期待通りでない場合、裏付け資産価値が揺らぐリスク。
  • 流動性リスク
     大規模な引き出しや急激な需要変動時に、裏付け資産を迅速に売却・清算できない可能性。
  • スマートコントラクト・実装リスク
     スマートコントラクトにバグや脆弱性があれば、資金盗難や操作リスクなど。
  • 規制リスク
     GENIUS Act など米国法制度の枠組みが今後変わる可能性、あるいは発行体や構造が法改正に耐えられない可能性。
  • 信用集中リスク
     裏付け資産として BlackRock や特定基金に強く依存している点が、集中リスクを高める。
  • 市場リスク・ペッグ崩壊リスク
     特定ショックが入ると、ペッグ変動・価格乖離リスクが発生しうる。

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