ステーブルコインまとめ(8) PYUSD

概要

  • シンボル名
     PYUSD (PayPal USD) (CoinGecko)
  • Ethereumアドレス
     0x6c3ea9036406852006290770BEdFcAbA0e23A0e8 (PayPal Developer)
  • 発行元 / プロジェクト
     発行は Paxos Trust Company による。PayPalと連携して発行されている。 (TechCrunch)
     (Paxos はニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の管轄下にあるトラスト会社で、規制対象事業者) (TechCrunch)
  • 発行開始
     2023年8月7日 正式に発表・ローンチされた。 (PayPal Newsroom)
     (ただし最初のコード・コントラクトはその前段階の準備があった可能性あり) (Medium)
  • 発行総数(流通量など)
     ・Etherscan 上では、循環供給量 (circulating supply) 約 2,544,689,494 PYUSD、時価総額約 $2,544,672,938 として表示。 (Ethereum (ETH) Blockchain Explorer)
     ・CoinMarketCap にも同様に、総供給量 2.54B PYUSD として記載。 (CoinMarketCap)
  • coingecko ランク
    #63 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所
     ・CoinMarketCap によれば、PYUSD は複数取引所に上場。 (CoinMarketCap)
     ・PayPal/Coinbase 間での統合・提携により、Coinbase 上で PYUSD を手数料無しで売買・1:1 USD 換算可能とする動きあり。 (PayPal Newsroom)
     ・DEX(分散型取引所)では、Uniswap V3 に PYUSD/USDC プールが存在。 (geckoterminal.com)
     ・Solana 上の取引所、ブリッジ等でも扱われている。 (Blockworks)

目的

PYUSD の主な目的・ユースケースは下記の通りです。

  • 法定通貨(USD)とのペッグ維持型ステーブルコインとしての決済用途
     「1 USD : 1 PYUSD」の交換可能性を担保しつつ、ブロックチェーン・ネットワーク上での移転性・流動性・プログラム適性を付与することを目指している。 (PayPal)
  • PayPal エコシステム/Web3 間の橋渡し
     PayPal ユーザーが、PayPal 内残高と暗号資産・ウォレットとの間で移転できるようにする。 (PayPal)
     暗号決済や Web3 アプリとの統合を進めたい構想。 (PayPal Developer)
  • 収益誘因・資金誘導
     PayPal 内で PYUSD を保有しているユーザーに対し、報酬・金利を付与する制度を導入しており、それを通じて流動性を確保・ユーザー定着を図る狙い。 (investor.pypl.com)
  • 多チェーン展開・相互運用性
     Ethereum だけでなく、Solana、Arbitrum、将来的には Stellar 等への展開を通じて、支払い・送金ユースケースを広げる。 (PayPal)

特徴(他のステーブルコインとの比較で目立つ点)

以下、PYUSD の強み・特徴と、他ステーブルコインとの違いになりうる点を挙げます。

特徴内容
PayPal ブランドとの統合PayPal を利用する既存ユーザー基盤にアクセスでき、PayPal サービスと連携できる設計。
報酬(利息)機能の付与PYUSD を保有することによって報酬(年率 3.7 % 程度など)を付与する制度を導入している。 (investor.pypl.com)
多チェーン対応・相互運用性Ethereum、Solana、Arbitrum に対応。さらに Stellar への展開も計画中。 (PayPal Newsroom)
規制・監督体制発行主体 Paxos は NYDFS の管轄下にあり、規制下で運営されている点を強調している。 (TechCrunch)
高透明性・担保の明示PayPal 側では、USD 預金、短期米国債などの「現金及び同等物」で完全裏付けをすると説明。 (PayPal)

一方、他ステーブルコイン(例えば USDC、USDT など)と比べると:

  • 流動性・市場規模ではまだ劣後する可能性が高い。
  • ネットワーク対応範囲は広げているが、各チェーンやウォレット対応・流動性確保は今後の課題。
  • 規制リスク・発行体信用リスクが相対的に重視され得る。

ニュース(過去1年以内で PYUSD に関する注目記事)

  1. CoinDesk:PayPal’s $1.3B Stablecoin Expands to 9 New Blockchains With LayerZero Integration
     「PayPal の 13 億ドルのステーブルコインが LayerZero によって 9 の新ブロックチェーンへ拡張」 (CoinDesk)
  2. PayPal が Stellar ネットワークでの展開を計画
     「PayPal USD (PYUSD) を Stellar ネットワークで利用可能にする計画」 (PayPal Newsroom)
  3. CoinDesk:PayPal、PYUSD に年率 3.7 % の利息提供を発表
     「PayPal が PYUSD 保有者に対し 3.7 % 年利を支払う方針を明らかに」 (CoinDesk)
  4. Reuters / Coinbase との提携
     「Coinbase が PYUSD の取引手数料を免除、USD への直接償還も可能に」 (Reuters)

(上記は 3〜4 件。必要ならさらに記事を探せます)


メリット(保有・利用・ステーキングなどの利点)

  • 利息・報酬獲得
     PayPal 上で PYUSD を保有していると、年利 3.7 % 程度(報酬率は変動の可能性あり)が付与される。 (CoinDesk)
     これはステーブルコインとしては比較的高利回りな報酬設計で、ユーザー誘因となる。
  • 低手数料・使いやすさ
     PayPal 内での送金・保有は手数料無料とする設計。 (PayPal)
     ネットワーク手数料 (Ethereum 等での転送) は発生するが、PayPal 内での換算・移動はシームレス。
  • 流動性・交換性
     1:1 で USD に交換可能(PayPal 内、認可パートナーを通じて)という裏付けが保証されている。 (PayPal)
  • 決済・送金用途
     ステーブルコインゆえ価格変動リスクを抑えつつ、ブロックチェーン上での即時送金や決済に使える。
     特に国際送金、少額支払い、Web3 アプリ連携などで有利。 (PayPal Developer)
  • ブランド信頼性
     PayPal/Paxos といった比較的信頼性の高い大手が関与しているという安心感がユーザー・機関投資家にアピールできる。

リスク(保有・運用上の懸念点)

  • 発行体リスク/信用リスク
     Paxos の運営・財務リスク、規制リスク、法令遵守の状況が直接的に影響を与える可能性。
     過去、Paxos に対する規制監査や SEC 等との関係注視の報道も存在。
  • 規制リスク・法的変化
     ステーブルコインは各国で規制の対象になりつつあり、将来的な規制強化、法制度変更による制限・上場廃止のリスクあり。
     例えば欧州の MiCA 規制や米国の証券法・金融監督強化など。
  • 流動性リスク/市場スプレッド
     主要ステーブルコイン (USDC, USDT 等) と比較すると流動性が薄く、スプレッド拡大や換金時のコスト上昇の可能性あり。
  • ブロックチェーン/ネットワークリスク
     Ethereum 等でのネットワーク混雑・ガス代高騰、スマートコントラクト脆弱性、チェーン間ブリッジの不具合リスクなど。
  • ペッグ崩壊リスク
     何らかのショック(担保資産の価値下落、資金流出、信用危機等)が起こると、1 USD とのペッグを維持できなくなる可能性。
  • 偽トークン詐欺
     発表時点で、偽の PYUSD トークン(別アドレス発行)を用いた詐欺が複数報告されており、ユーザーはコントラクトアドレスを慎重に確認すべき。 (Medium)
  • 報酬比率の変動・制度変更
     報酬(利息)は変動可能で、将来縮小または廃止されるリスク。報酬が主な誘因になっている場合、制度変更は影響が大きい。

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