ステーブルコインまとめ(7) USDT0

概要

  • シンボル名: USDT0
  • Ethereumアドレス(もしくは代表チェーンのコントラクト)
     – Polygon上の USDT0 コントラクトの一つ: 0xC2132D05D31C914A87C6611C10748AEB04B58E8F (Polygon (POL) Blockchain Explorer)
     – Arbitrum上にも USDT0(USD₮0)展開例あり (Arbitrum L2 Explorer)
  • 発行元 / プロジェクト: USDT0 は、Tether(USD₮)をベースに “オムニチェーン(omnichain)” 構造で展開される流動性プロトコル。 (docs.usdt0.to)
    • ただし、USDT0 自体は Tether が直接「独自に発行」するトークンというより、Tether の USDT をロックして対応トークンを複数チェーンで発行・橋渡しする設計 (“lock-and-mint”) を取る方式と説明されている。 (Bitfinex blog)
  • 発行開始: 2025年1月16日(Tether が USDT0 をローンチ) (Superchain Eco)
  • 発行総数 / 流通量(ドル換算)
     – CoinGecko によれば、USDT0 の流通量は約 6,952,058,848 USDT0 (=約 69.5 億ドル相当) (CoinGecko)
     – 同時に時価総額 (market cap) は $6,956,898,827(約 69.6 億ドル) (CoinGecko)
  • coingecko ランク#34 (CoinGecko)
  • 上場する主な取引所 / 流通市場
     – DEX(分散型取引所):Hyperliquid(USDT0/USDC ペア) (CoinGecko)
     – Fluid(Arbitrum) (CoinGecko)
     – 「Project X」なども取引所ペアに見られる (CoinGecko)
     – ただし、CEX(中央集権型取引所)での上場については、少ないまたは限定的なように見える(public 資料で判明せず)

目的(用途・プロジェクト概要)

USDT0 の目的・設計意図は、従来の USDT(USD₮)の流動性をマルチチェーンへ拡張し、「1つの USDT 資産」が複数ブロックチェーン間でシームレスに動けるようにすることです。以下が主なポイント:

  • オムニチェーン流動性の統合
     USDT0 は LayerZero の Omnichain Fungible Token (OFT) 標準を用い、ラップされたトークンや中間チェーンを経由する変換を最小化する方式で、USDT を複数チェーンにまたがって展開・送金できるようにする。 (Superchain Eco)
  • “lock-and-mint” モデル
     Ethereum 上で USDT がロックされ、対応する量の USDT0 が他チェーンで発行(ミント)される方式。これにより、USDT0 は元の USDT と 1:1 で対応する形を取る(ペグ維持)設計。 (Bitfinex blog)
  • 手数料低減・効率化
     従来のクロスチェーンブリッジ方式を用いると、途中チェーン利用料やラップアンラップ操作などでコスト・手間が発生するが、USDT0 ではこれを削減し、ユーザーや DeFi アプリケーションにとって使いやすくすることを志向。 (Binance)
  • 既存 USDT エコシステムとの連携
     USDT0 は “USDT の次進化” として設計されており、USDT の信頼性・裏付け(リザーブ資産)を活かしつつ、マルチチェーン利便性を付与するものと位置付けられている。 (docs.usdt0.to)
  • 応用展開
     USDT0 の技術設計を応用して、Gold のトークン版である XAUt0(Tether Gold のマルチチェーン版)も並行して展開されている。 (CoinDesk)

特徴(他ステーブルコインとの比較での強み・独自性)

以下は USDT0 が持つとされる特徴・差別点です:

項目内容
流動性の断片化軽減多くのステーブルコイン/USDT は、各チェーンにラップされた別トークン(例: USDT on Arbitrum, USDT on BSC など)を通して流動性を分散させるが、USDT0 は同一資産としてチェーンを横断できるように設計
費用効率化中間ブリッジ操作や複雑なラッピング操作を減らすことで、送金コストやガスコストを抑える可能性を持つ
信頼性の継承USDT(Tether)が持つ裏付け資産や信頼構造をベースにしているため、新規ステーブルコインと比べリスク評価で有利に働く可能性
柔軟性新しいネットワーク/チェーンにも拡張しやすい設計(LayerZero OFT 標準使用)
統一資産としての UX 向上ユーザーやアプリにとって、「どのチェーンの USDT か」を気にしなくてよい操作体験を提供可能

ただし、これらの特徴は理論設計・初期展開段階のものであり、実運用・セキュリティ・流動性面では注意が必要です。


ニュース(過去1年以内の言及例)

  1. 「USDT0 and XAUt0 stablecoins launch on Polygon network」
     USDT0 が Polygon ネットワークにローンチされたという報道。 (Cointelegraph)
  2. 「Stablecoin Protocol USDT0 Aims to Bring Tokenized Gold Closer to DeFi」
     USDT0 の展開と、Gold トークン(XAUt0)との連携について。 (CoinDesk)
  3. 「Native USDT0 Comes to Polygon for Lower Fees and Deeper Liquidity」
     Polygon 上で USDT0 がネイティブに導入され、手数料低減・流動性強化を図るというニュース。 (Polygon)

(必要であれば日本語記事や追加のものを探せます)


メリット(保有・利用・ステーキング等の利点)

  • 効率的な資産移動
     複数チェーンをまたいで USDT を移動する際の手数料・遅延を抑えられる可能性。
  • 流動性活用
     複数チェーンで同一 USDT 資産を使えるため、DeFi アプリケーションでの流動性提供や資本効率向上が見込める。
  • 信頼性
     USDT の信用・裏付け資産を前提とする設計であるため、比較的新しいステーブルコインと比べて信頼性面のアドバンテージ。
  • 拡張可能性
     将来的な連携チェーンやアプリとの統合がしやすい設計構造。
  • (可能性として)ステーキングや報酬獲得
     一部プラットフォームでは USDT0 を用いた流動性提供やステーキング報酬が検討されているという記述もみられる (Cryptohopper)

リスク・注意点(保有時・運用時のリスク)

  • 設計リスク・スマートコントラクトの脆弱性
     OFT やクロスチェーンロジックを扱うため、設計ミスやバグ・攻撃リスクが存在
  • 資産裏付け・ペグ破綻リスク
     USDT0 は USDT をロック → 発行 という流れを採るが、USDT 側の裏付け資産リスクやロック・ミント操作での不整合リスクも含む
  • 流動性リスク
     新興トークンであり、CEX における上場が限定的なため、流動性が十分でないチェーンやペアでは価格スリッページや取引困難性のリスク
  • 規制リスク
     ステーブルコイン/規制対象資産としての法令・監督規制の変化に影響を受けやすい
  • 運用・変換リスク
     USDT と USDT0 間の変換(スワップや巻き戻し)が必要な場合、手数料・タイミング差・変換の失敗リスク
  • 依存関係リスク
     LayerZero や使用されるクロスチェーンインフラの停止・不具合・攻撃リスク

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