概要
- シンボル名: USDT0
- Ethereumアドレス(もしくは代表チェーンのコントラクト):
– Polygon上の USDT0 コントラクトの一つ: 0xC2132D05D31C914A87C6611C10748AEB04B58E8F (Polygon (POL) Blockchain Explorer)
– Arbitrum上にも USDT0(USD₮0)展開例あり (Arbitrum L2 Explorer) - 発行元 / プロジェクト: USDT0 は、Tether(USD₮)をベースに “オムニチェーン(omnichain)” 構造で展開される流動性プロトコル。 (docs.usdt0.to)
- ただし、USDT0 自体は Tether が直接「独自に発行」するトークンというより、Tether の USDT をロックして対応トークンを複数チェーンで発行・橋渡しする設計 (“lock-and-mint”) を取る方式と説明されている。 (Bitfinex blog)
- 発行開始: 2025年1月16日(Tether が USDT0 をローンチ) (Superchain Eco)
- 発行総数 / 流通量(ドル換算):
– CoinGecko によれば、USDT0 の流通量は約 6,952,058,848 USDT0 (=約 69.5 億ドル相当) (CoinGecko)
– 同時に時価総額 (market cap) は $6,956,898,827(約 69.6 億ドル) (CoinGecko) - coingecko ランク: #34 (CoinGecko)
- 上場する主な取引所 / 流通市場:
– DEX(分散型取引所):Hyperliquid(USDT0/USDC ペア) (CoinGecko)
– Fluid(Arbitrum) (CoinGecko)
– 「Project X」なども取引所ペアに見られる (CoinGecko)
– ただし、CEX(中央集権型取引所)での上場については、少ないまたは限定的なように見える(public 資料で判明せず)
目的(用途・プロジェクト概要)
USDT0 の目的・設計意図は、従来の USDT(USD₮)の流動性をマルチチェーンへ拡張し、「1つの USDT 資産」が複数ブロックチェーン間でシームレスに動けるようにすることです。以下が主なポイント:
- オムニチェーン流動性の統合
USDT0 は LayerZero の Omnichain Fungible Token (OFT) 標準を用い、ラップされたトークンや中間チェーンを経由する変換を最小化する方式で、USDT を複数チェーンにまたがって展開・送金できるようにする。 (Superchain Eco) - “lock-and-mint” モデル
Ethereum 上で USDT がロックされ、対応する量の USDT0 が他チェーンで発行(ミント)される方式。これにより、USDT0 は元の USDT と 1:1 で対応する形を取る(ペグ維持)設計。 (Bitfinex blog) - 手数料低減・効率化
従来のクロスチェーンブリッジ方式を用いると、途中チェーン利用料やラップアンラップ操作などでコスト・手間が発生するが、USDT0 ではこれを削減し、ユーザーや DeFi アプリケーションにとって使いやすくすることを志向。 (Binance) - 既存 USDT エコシステムとの連携
USDT0 は “USDT の次進化” として設計されており、USDT の信頼性・裏付け(リザーブ資産)を活かしつつ、マルチチェーン利便性を付与するものと位置付けられている。 (docs.usdt0.to) - 応用展開
USDT0 の技術設計を応用して、Gold のトークン版である XAUt0(Tether Gold のマルチチェーン版)も並行して展開されている。 (CoinDesk)
特徴(他ステーブルコインとの比較での強み・独自性)
以下は USDT0 が持つとされる特徴・差別点です:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 流動性の断片化軽減 | 多くのステーブルコイン/USDT は、各チェーンにラップされた別トークン(例: USDT on Arbitrum, USDT on BSC など)を通して流動性を分散させるが、USDT0 は同一資産としてチェーンを横断できるように設計 |
| 費用効率化 | 中間ブリッジ操作や複雑なラッピング操作を減らすことで、送金コストやガスコストを抑える可能性を持つ |
| 信頼性の継承 | USDT(Tether)が持つ裏付け資産や信頼構造をベースにしているため、新規ステーブルコインと比べリスク評価で有利に働く可能性 |
| 柔軟性 | 新しいネットワーク/チェーンにも拡張しやすい設計(LayerZero OFT 標準使用) |
| 統一資産としての UX 向上 | ユーザーやアプリにとって、「どのチェーンの USDT か」を気にしなくてよい操作体験を提供可能 |
ただし、これらの特徴は理論設計・初期展開段階のものであり、実運用・セキュリティ・流動性面では注意が必要です。
ニュース(過去1年以内の言及例)
- 「USDT0 and XAUt0 stablecoins launch on Polygon network」
USDT0 が Polygon ネットワークにローンチされたという報道。 (Cointelegraph) - 「Stablecoin Protocol USDT0 Aims to Bring Tokenized Gold Closer to DeFi」
USDT0 の展開と、Gold トークン(XAUt0)との連携について。 (CoinDesk) - 「Native USDT0 Comes to Polygon for Lower Fees and Deeper Liquidity」
Polygon 上で USDT0 がネイティブに導入され、手数料低減・流動性強化を図るというニュース。 (Polygon)
(必要であれば日本語記事や追加のものを探せます)
メリット(保有・利用・ステーキング等の利点)
- 効率的な資産移動
複数チェーンをまたいで USDT を移動する際の手数料・遅延を抑えられる可能性。 - 流動性活用
複数チェーンで同一 USDT 資産を使えるため、DeFi アプリケーションでの流動性提供や資本効率向上が見込める。 - 信頼性
USDT の信用・裏付け資産を前提とする設計であるため、比較的新しいステーブルコインと比べて信頼性面のアドバンテージ。 - 拡張可能性
将来的な連携チェーンやアプリとの統合がしやすい設計構造。 - (可能性として)ステーキングや報酬獲得
一部プラットフォームでは USDT0 を用いた流動性提供やステーキング報酬が検討されているという記述もみられる (Cryptohopper)
リスク・注意点(保有時・運用時のリスク)
- 設計リスク・スマートコントラクトの脆弱性
OFT やクロスチェーンロジックを扱うため、設計ミスやバグ・攻撃リスクが存在 - 資産裏付け・ペグ破綻リスク
USDT0 は USDT をロック → 発行 という流れを採るが、USDT 側の裏付け資産リスクやロック・ミント操作での不整合リスクも含む - 流動性リスク
新興トークンであり、CEX における上場が限定的なため、流動性が十分でないチェーンやペアでは価格スリッページや取引困難性のリスク - 規制リスク
ステーブルコイン/規制対象資産としての法令・監督規制の変化に影響を受けやすい - 運用・変換リスク
USDT と USDT0 間の変換(スワップや巻き戻し)が必要な場合、手数料・タイミング差・変換の失敗リスク - 依存関係リスク
LayerZero や使用されるクロスチェーンインフラの停止・不具合・攻撃リスク